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こども食堂のおばちゃんのコラム

コロナとこどもの心 その6

~国立成育医療研究センター 第6回アンケートから~

画像:かなぷ/イラストAC

令和4年になり、オミクロン株が急激に広がり始めました。まだまだ出口が見えない毎日です。コロナ禍が始まってちょうど2年。ワクチンや治療薬はあるものの、感染への恐怖は収まりません。そして子どもたちの心への影響も計りしれません。

 

オミクロン株による感染は、あっという間に第5波の数字を超えてしまいました。重症化の割合が低く、軽症で済むと言った情報が伝わっていますが、決して軽視できない状況です。

 

そこで、今回は第5波当時に実施されたアンケートを基に今の子どもたちの心の状態を推察してみたいと思います。今まさに第6波が猛威を振るっている最中なので、このアンケートが参考になればと思います。

 

これは、2021年9月13日~9月31日まで行われた第6回目のアンケートです。調査期間は、第5波というこれまでとは比べものにならないくらいの大きなうねりがピークを迎え、徐々に下降に転じ始めた時期です。

 

夏休みが終わって2学期が始まり、第5波の真っただ中で子どもたちが一体どんなことを感じていたかを、アンケートという形で問いかけたものです。その調査結果が2021年11月17日に公表されました。

 

第6回アンケ―トの回答者は、これまでと同じ小学1年生~高校3年生までの1,271人、保護者5,807人、併せて7,078人でした。回答者数は第1回8,707人、第2回6,772人、第3回10,676人、第4回目4,629人、第5回3,191人となっています。

 

今回の調査期間はこれまでよりかなり短い19日間ですが、回答者の多さからもコロナへの関心の高さが伺えます。さっそく、コロナが子どもの心にどんな影響を与えたのかを中心に見ていきます。

 

第4回(2020年11月~12月)の調査では、うつ症状が小学4~6年生の15%、中学生24%、高校生30%に見られると報告されました。この数字はとても衝撃的なものでした。この状況が第5波でどう変化したのか、しなかったのか、を軸にしていきます。

 

まず、子どもの心の様子です。

■「コロナのことを考えると嫌だ」38%

■「すぐイライラしてしまう」  28%

■「最近集中できない」     26%

■「寝付けない。夜目が覚める」 20%

■「嫌な夢や悪夢をよくみる」  15%

■「自分や家族を傷つけてしまう」14%

■「ひとりぼっちだと感じる」  11%   

このような結果がでました。これまで同じような質問をしてきて、若干改善傾向は見られますが、まだ高止まりしています。

 

ただ心配なのは、これらの症状が1ヶ月以上続いていると回答した内訳が、「イライラする」28%、「最近集中できない」24%、「コロナの事を考えると嫌になる」21%、「寝付けない。夜目が覚める」16%、と答えていることです。

 

そして、いずれか1つ以上のストレス反応を示している子は、全体の70%を占めています。この状態が2年近く続いていると、これが普通という感覚が芽生え、子どもたちの心に大きな影を落としたまま大人になっていかなければならず、これからの社会に大きな影響を及ぼしてしまう懸念が生じます。

次に登校についてです。

直近1週間で「学校に行きたくないことがあった」と回答した子どもは、小学4~6年37%、中学生40%、高校生47%でした。年齢が高くなるほど登校渋りの傾向があるようです。

 

保護者から見て子どもが学校へ行きたくない様子が見られたと答えた数字は、小学4~6年生が28%、中学生33% 高校生27%と、当事者の子どもと保護者の間には約10%の意識の差異が見られました。本心を親に知られたくないという子どもの心情が伺えます。

 

学校へ行きたくない理由は、やはりと言うべきか、コロナ感染の恐怖と校内での行動規制が挙げられています。また、気にかかったのは友人関係です。コロナでギスギスし、うまく友達とのコミュニケーションが取れないことが登校渋りの一因と答えた子どもが一定数いました。

 

全体でみると学校に行きたくないことがあると答えた子どもは38%。第3回目(2020年9~10月)が31%でしたから、1年間で7%増加したことになります。

 

学校ではオンライン授業が行われるようになりました。このオンライン授業についての設問では、嬉しいと答えた子どもが53%でした。理由には様々な意見がありました。

■「コロナ感染の心配がない」

■「マスクをしなくてよい」

■「クラスメイトに会いたくないから」

■「いじわるをされない」

■「自分のペースで勉強が出来る」

■「不登校なので、授業の遅れを取り戻せる」

■「好きな時間に勉強できるし、何回も見れる」

■「画面越しでも友達の顔が見えるのは嬉しかった」

嬉しくないと答えた子どもは39%。こちらにも色々な意見がありました。

■「オンラインは無機質と感じる」

■「ひとりの部屋がない。家を見られるのが嫌だ」

■「外に出たい。家に居場所が無いから」

■「友達がいなくて休み時間遊べない」

■「本当の学校の感じがしない。皆と同じ教室で勉強したい」

最後の2つは小学生の回答です。どれ一つとっても、子どもたちの小さな叫びが聞こえてきます。

保護者に、“子どもの気になる様子”を尋ねたころ「家以外でマスクを外すのを嫌がり熱中症になった」「コロナ感染の心配からか、狂気じみた手洗いの回数で手首から先が真っ赤にカサカサになった。洗いすぎは良くないと注意しても聞かない」と過剰反応している報告もありました。

 

また「自己肯定感が下がっている」とか「死にたくない」または「死にたい」と漏らすようになった子どももいたようです。

 

さらに「チック症状が出た」「吃音が出るようになった」「コロナ禍になってから吐き気に悩まされ体重が6キロ落ちた。原因不明の吐き気に見舞われ精神的にも肉体的にも辛そう」「元気がなく、疲れている。学校以外で外に行きたいという気力がなさそう」と言う記述もありました。

 

どれをとってもとても深刻な様子が報告されています。ただその反対に「オンラインになり、むしろ喜んでいる。普段の学校は本人にとって無駄があったのかも、と思う事がある」「オンラインが終わり登校しているが、楽しそう」と見ている報告もあり、少し安心しました。

次に、子どもたちの気持ちを支えてくれたものについての設問では「家族」「友人」「部活の仲間」や「学校」「ゲーム」「習い事」といった回答がありました。

 

また「“たんたんと暮らしていくことが良い”というアドバイス」とか「新聞やニュースでコロナは怖いとあおっていたが、お父さんお母さんが正しい情報を調べて伝えてくれた」「学校の先生がコロナの事、皆を守るための事を教えてくれた」悪い事ばかりではなく、何気ない事で子どもたちの気持ちを支えていることも分かりました。

 

最後に “子どもたちから伝えたい事” です。

■「小学6年の卒業式から今までの2年間制限ばかり。中学生活を今まで通り過ごしたい」

■「僕は苦しくてもマスクをしなければならない。手洗いで手が切れてもアルコール消毒しなければならない。給食も黙って食べなければならない。大人は怖いと感じる」

■「未来のある若者を優先しない理由を知りたい」

■「子どもは給食も喋らないで我慢しているのに、大人はどうして皆でお酒を飲みたの?我慢できないの?」

■「ひとり親家庭を支援して欲しい。お金が無いと何もできない」

■「運動会とかいつも通りできないのに、オリンピックしてずるい。前みたいに楽しい学校にして欲しい」

また「言うほど辛くないし、困ってないし、どちらかと言うと楽しく過ごしています」という明るい意見もあり、悪い事ばかりではないとホッとできました。

 

ただ一つ気にかかった記述がありました。

「私はコロナにかかって後遺症があります。お母さんが病院に問い合わせてくれたけど、こどもの後遺症を診察する先生はいないと言われました。こどもの後遺症について相談できる場所を作って欲しい」

子どもはコロナに感染しにくいと報道されていますが、子どもの後遺症については全く報道されていません。多分その研究やデータが不足しているので公表できないのでしょう。しかし子どもたちだからこそ、その分野の研究を進めて後遺症が残らずに大人になって欲しいものです。これは大人たちの責任です。

 

第6波では、子どもの感染が多いと報道されるようになりました。ますます子どもたちの様子が気になります。先にも述べましたが、子どもの“うつ症状”が減少するどころか増加するのではないかと憂慮するところです。

 

今私たちに出来ることは、身近にいる子どもたちがほんの少しでも良いので安心感を持てるような言葉がけや行動を取ることではないでしょうか?

 

アンケ―トについて、もっと宣伝して是非子どもたちのために役立てて欲しいという意見が多く寄せられたことを最後の締めくくりとします。

 

昨年12月第7回目のアンケートが実施されました。来月にはその結果が発表されると思います。その時はこの場でまた報告しますので、是非一緒に子どもたちの事考えてみませんか?

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