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こども食堂のおばちゃんのコラム

~コロナとこどものうつ病~

〈国立成育医療研究センター 第4回アンケートから〉

画像:みそ / イラストAC

これまで、国立成育センターで調査した「コロナ×こども」アンケートの結果をこの場で筆者なりの問題点について報告してきました。今回は2020年11月17日~12月27日まで行われた第4回のアンケート結果ついて考えてみたいと思います。これは2021年2月10日に公表されたものです。

 

調査期間は、全国的に感染者が大幅な増加傾向になり、2回目の緊急事態宣言発令が視野に入っていた時期に当たります。1月7日に1都3県に緊急事態宣言が発令、13日には11都府県に拡大されました。長野県はその中には入っていませんが、首都圏に近いこともあり感染者が大幅に増加していきました。第3波の到来で皆の不安と目に見えない恐怖と疑心暗鬼が入り混じった時期です。同時にコロナによる自粛疲れと慣れが様々な場面で見られるようになった頃でもあります。

 

第4回アンケ―トの回答者は、これまでと同じ小学1年生~高校3年生までの924人と、0歳~高校3年生の保護者3,705人、併せて延べ4,629人。第1回は8,707人、第2回は6,772人、第3回は10,676人ですから、前回に比べ半数以下です。後ほど出てきますが、コロナの事を考えるのも嫌という子どもたちが増えたため、アンケ―トに答えることを拒否している表れかもしれません。ある意味子どもたちの心に落としている影響が深刻とも言えそうです。

まず、今回のアンケートで最もショックを受けたのは、小学校4~6年生15%、中学生24%、高校生30%に「中等度以上のうつ症状」が見られるという結果報告でした。もちろん限られた子どもと保護者のアンケートですからこれが全てではありません。しかし一部だとしてもこの結果は看過できないものです。

 

また、文科省によると2020年の小中高生の自殺は479人と発表されました(→文部科学省HP)。前年比140人増。統計のある1980年以降最多だそうです(2021年2月15日 日本経済新聞より)。特に女子高生は138人と前年より71人増え、約2倍に跳ね上がったと言えます。小中高生の自殺数は2つの山があり6月と8月です。6月は長期休校が明けた時期で45人、8月は短縮した夏休みが明けた時期で64人、特に高校生は46人(2021年3月7日 朝日新聞より)と前年同月に比べ、こちらも2倍近い数字になりました。特にうつ病による悩みや影響、精神疾患等の悩みが大幅に増加したという事です。アンケート結果と文科省発表の実際の自殺者数から見てこれは最重要課題と捉え、社会全般のあらゆる分野で取り組んでいくべき課題と言わざるを得ないと思います。

アンケート結果に戻ります。そこから具体的にどんな子どもたちの声が出てきたのでしょうか?「この1週間で」と限定した質問の中から、気になった質問と回答を拾ってみました。

 

1.気分が落ちこむ、憂鬱になる、いらいらする、絶望的な気持ちになる

  ある(小学4~6年生 51%、中学生 64%、高校生 60%)

 

2.物事に対してほとんど興味がない、または楽しめない

  ある(小学4~6年生 27%、中学生 41%、高校生 43%)

 

3.寝つきが悪い、途中で眼が覚める、または逆に眠りすぎる

  ある(小学4~6年生 40%、中学生 50%、高校生 48%)

 

4.疲れた感じがする、または気力がない

  ある(小学4~6年生 48%、中学生 77%、高校生 67%)

 

5.自分はダメな人間または失敗者だと感じる、または自分自身あるいは家族をがっかりさせていると思う

  ある(小学4~6年生 39%、中学生 48%、高校生 49%)

 

6.学校の勉強、読書、またはテレビを見ることなどに集中するのが難しい

  ある(小学4~6年生 22%、中学生 46%、高校生 46%)

 

年齢が上がるごとに、数値が上昇しています。大人たちの想像以上に子どもたちの心と体に暗い影を落としているように思えます。

また、悩んでいることについての質問で、「勉強」が50%、「友達関係」と「自分の心・気持ち」が35%と回答しています。その中で一番の悩みは? という問いに、「勉強」と答えた中学生は39%、高校生35%、「自分の心・気持ち」と答えた中学生は15%、高校生12%でした。コロナが無くても勉強について不安と答える子どもは多いと思われますが、得体の知れないコロナという恐怖が不安を増大し、そして終わりが見えない状況でどう凌いでいけば良いか、ただ黙々と暗闇の中を彷徨うしかないようにも感じます。

自由筆記では、以下のような気持ちが書かれていました。

「コロナを理由に何でもかんでも中止にしないで欲しい」

 

「コロナになって悪口や差別されている人がいる」

 

「今年の思い出はコロナって叫ぶやつ。コロナコロナでうるさい。もっと大事なことがあるだろ」

また、心の問題に関する自由記述では、このような子もいました。

「精神的に不安定になって死にたくなって辛い」

 

「頑張り切れない」

 

「集中できない」

 

「自分はダメと思い、激しく自分を怒ってしまった」

子どもたちの叫びのような感情は、純真であるが故の危うさを含んでいるように思われてなりません。

子どもたちのストレス対処行動について、「全くない・少しだけ」が全体の42%あり、ストレスが恒常化されているようです。ただ、保護者のアンケートで「結果だけでなく、子どもなりに頑張っていることや、今出来ていることに注目して褒めるようにしている」という質問に対して「たいてい、いつも」と回答した方が小学生の保護者8割以上、中高生の保護者7割以上という結果に、少しほっとしました。

 

ただ、保護者の悩みの質問で「(この2週間で)疲れた感じがする、または気力がない」に中学生以下の保護者の8割、高校生の保護者の7割がそう答えています。また「気分が落ち込む、憂鬱になる、または絶望的な気持ちになる」では中学生以下の保護者が6割以上、高校生保護者の5割がそう回答しています。相当数の保護者が悲観的な態度であれば、当然子どもに影響を与えます。

 

保護者の自由筆記です。

「先生や生徒たちが皆イライラしている。子ども同士の関わりが希薄になった」

 

「休校⇒再開とリズムが大きく崩れたことで、子どもの心身も大きく崩れた。眠れない、疲れやすい、起きられないと言った状態で、朝から登校出来る日が難しい。学校や担任に理解がなく、逆に悪化した」(小学2年保護者)

 

「子どもが全く話をしなくなった。10ヵ月間一言も話さない。どうコミュニケーションを取ったらよいか分からない」(高校2年生保護者)

このように、コロナ禍が長引いている現状で悲鳴にも近い言葉に成す術があるのでしょうか?

 

最後に、全般に関して子どもたちから大人への声をいくつか紹介します。

「私は学校が休校になってから、心の病にかかりました。だから、また休校にならないか心配です」

 

「学校の授業以外のイベントが無くなり、友人との外出も控えるように学校から指導されているのに、何故大人は好き勝手しているのですか」

 

「大人はGO TOキャンペーンで出かけているのに、なんで修学旅行や林間学校などの子どもたちの大事なイベントはダメなんですか?」

 

「コロナに縛られて自由がない。子どもが我慢していることを大人は理解して欲しい。もっと子どもの気持ちを考えて欲しい」

 

「なんで、大人は旅行に行っているの。なんで子どもはこんなに世間から叩かれなきゃいけないの。なんで子どもの事となると厳しい環境を作ってくるの?」

アンケートの最後に、国立成育医療研究センターのこんなコメントが掲載されていました。

「小学4年~6年生の15%、中学生24%、高校生30%に中等以上のうつ症状があると言う結果に大きな衝撃を受けました。子どもの鬱は、大人の鬱と違う症状で現れることが多いと言われています。たとえば腹痛などの身体の不調が鬱のサインということもあります。イライラや攻撃性などの外に向かうもの、不登校や引きこもりなどの内に向かうものがサインという事もあります。このような症状はうまくやり過ごすうちに自然と気が晴れるのであれば問題はありません。しかし、ストレスが強すぎたり、本人が弱っていたりすると、その状態が長く続き心身のエネルギーを消耗してしまいます。そうすると自力で回復するのは困難で無理に頑張るのは逆効果です。周囲が、気が付いてあげること早めに専門家に相談することが大事です。

また保護者も約3割に中等度以上の鬱症状がありました。こどものSOSに気づいて対処するためにはまず大人の心に余裕が必要です。大変な今こそ、ささえ合いが求められます」

現在、第5回のアンケート調査が2021年2月19日~3月21日の期間で実施されています。このコラムを読んでくださった小・中・高生の皆さん、またその保護者の皆さん第5回のアンケートに参加して是非自身の意見をぶつけてください。

 

第4回調査報告書「コロナ×こどもアンケート」と第5回調査ご協力のお願い(予告)

国立研究開発法人 国立成育医療研究センター

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