まいぷれ長野の少し役立つコラム
~警察庁生活安全局少年課の報告から~

写真:PIXTA
令和4年3月、警察庁生活安全局少年課から「令和3年における少年非行、児童虐待、及び子供の性被害の状況」が発表されました。今回はその報告の中から児童虐待について考えてみます。
令和3年度、警察に児童虐待の通告があった人数は108,059人でした。令和2年より1,068人増加しています。また10年前に比べ約9.4倍に膨れ上がっています。
近年マスコミ等で児童虐待の報道が後を絶たず、この場でも何度も児童虐待を取り上げてきました。報道に接した人たちは皆一様に大きなショックを受けてきました。
10年前と比較して通告数が9.4倍に増加したのは、周りに居る大人たちが事の重大さに気づき、少しでも虐待が疑われると感じた時に警察に通告したものと思われます。それだけ世間の関心が高まったということでしょうか。それとも虐待が想像以上に増加したのでしょうか。
児童虐待は4種類に分けられます。身体的虐待、性的虐待、怠慢・拒否(ネグレクト)心理的虐待です。
通告の中で最も多いのが心理的虐待で、通告数の74%を占めています。心理的虐待とは、端的に表すと「子どもの心に深い傷を負わせ、自尊心を損なわせること。面前DVも含まれる」です。
これは10年前に比べ16倍に増えています。コロナ禍が始まって、子どもたちが家庭に留まることが多くなれば虐待も増えるのではないかと懸念されていますが、令和に入ってから毎年7万件を超えています。
それでは、もう少し詳しく見ていきます。通告児童数108,059人のうち警察で実際検挙したのは、2,174件2,199人、被害児童数は2,219人でした。
検挙数の中で最も多かったのは身体的虐待で、実に1,766件1,780人検挙数の81%を占めています。10年前と比較すると、件数・人数・被害児童数共に約5倍に増加しています。検挙された身体的虐待の内訳は、傷害が789件、暴行が880件。殺人は64件(未遂含)にも上りました。
大人同士ではなく、大人による子どもへの暴力です。圧倒的に強い立場にいる大人が、信じることしかできない子どもへの許しがたい暴力です。なぜこんな非道なことができるのか。心を持った人間のやることではありません。
検挙数339件342人と年々増加、被害児童数は296人です。この5年で約2倍になりました。そのほとんどが、強制性交・強制わいせつ・児童買春・児童ポルノ法違反です。
多くの被害にあった子どもたちは、無自覚のまま気がついたら被害を受けていたと推察されます。大人になって初めて被害に遭ったことを自覚できたと話をされた方もいました。子どもの心に大きな傷を残し、将来に大きな影を落とします。
先日テレビ番組で、性的虐待を受けた女性が何十年経ってもそこから抜け出せず、苦しみもがいているドキュメンタリーが放送されました。最近、有名シンガーが幼い頃性被害を受けたと告白していました。
加害者の一方的な自己満足のために、被害を受ける子ども。何年経っても、心の奥深いところで苦しんでいることを忘れてはなりません。
ネグレクトとは、「育児放棄」を指すことが多いようです。は、検挙数21件で令和に入ってから増加傾向です。他の虐待に比べればかなり低い数字です。
しかし、これは生死にかかわる重大事案です。殺人にも等しいと思います。親自身の身勝手のために子どもを蔑ろにする。子どもの為に自分を犠牲にすることは、ただの美談でしょうか?
否、ほとんどの親は自分を犠牲にしても子どもを守っています。ごく一部の親がこうした問題を起こしているのでしょう。すべてを犠牲にしろとは言いません。せめて子どもが未成年のうちは、我慢をする機会を増やしてもらいたいと思います。
通告数約8万件と最も多かった心理的虐待の検挙数は、48件50人だけでした。
これは、通告を受けたものの、法律に触れるほどの案件ではないので警察が検挙できないという事でしょうか。そう理解すれば、むしろこの数字の方が気がかりです。
言い換えれば、検挙予備軍と言えるのではないでしょうか? 今後虐待が増加していき外に分からないように陰湿になっていくのではないかと懸念されます。
保護された児童数2,219人のうち、死亡児童数は54人でした。10年前に比べると、若干減っていますが、この5年間ほぼ横ばいです。
一番多いのが無理心中で、29名と半数以上を占めています。平成25年以降減少してきましたが、令和に入ってまた増加してきました。
コロナの影響でしょうか。コロナ禍で生活が苦しくなり、生きていく希望が見いだせないため、親が子どもを道連れにしたとすればコロナの関連死と言えるかもしれません。
社会が不安定であればあるほど、一番のしわ寄せが子どもにいく、その不条理さに言葉がありません。私たちに出来る事はあるはずなのに。これはもっと考え、行動を起こさなければならない問題です。
一つだけ付け加えると、被害児童数に占める死亡児童数の割合が2.4%と毎年減少しています。平成16年は32.3%で(分母が小さいという理由は有りますが)大変高い数字でしたから、ほんのちょっと希望が見いだせます。
何とか0%になるよう私たちも出来ることをして行きたいと考えています。絶対不可能ではないはずです。
最後に児童と加害者の関係について報告します。検挙人数2,199人うち、身体的虐待で加害者が実父の場合が1,039人。実母が568人。計1,625人で約75%を占めています。
性的虐待は血の繋がった実父135人、実母10人の計145人で、性的虐待の検挙数342人のうち約42%も占めています。
ネグレクトは検挙数27人のうち、実母18人、実父5人計23人で85%です。
心理的虐待は検挙数50人のうち、実父19人、実母24人計43人でやはり86%です。
なぜ血の繋がった子どもを、実の親が虐待をする数がこんなに多いのか、親個人の問題なのか、社会がそうさせるのか、やり場のない憤りでいっぱいです。
子どもの虐待は、親の問題として親に焦点を当てることが急務です。
「親ガチャ」と言う言葉が昨今流行語のように報じられますが、正に子どもは親を選べません。そしてどの子も親が大好きです。親を信じています。そんな子どもたちのために、何とか幸せになれるよう全ての大人の努力が必要だと思います。
この報告は全国の数字です。長野県の数字はまだ示されていません。県別の数字が公表されましたら、またこの場で報告をする予定です。
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