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こども食堂のおばちゃんのコラム

「令和2年度 児童虐待速報値」から考えること

画像:poko pocket/イラストAC

8月27日、厚生労働省から「令和2年度 児童相談所での児童虐待相談対応件数(速報値)」の発表がありました(→厚生労働省HP)。昨年11月、このコラム欄で令和元年度の虐待件数の報告をしましたが、今回は令和2年4月~令和3年3月までの件数です(→令和元年度の報告「児童虐待~長野県の現状」)。

 

全国で205,029件。過去最多を更新しました。令和元年度は193,780件ですから、5.8%増加しています。平成23年度は59,919件、約10年で約3.4倍に膨れ上がりました。特に昨年はコロナ禍で自宅に籠りがちになり、家庭の様子が見えなくなるため虐待が増加するのではないかと言う懸念がありました。残念ながらやはり増加していました。

 

児童虐待は4分類されます。その内訳は以下の通りです。

(1)身体的虐待 50,033件  24,4%増(前年比)

(2)ネグレクト 31,420件  15.3%増(〃)

(3)性的虐待  2,251件    1.1%増(〃)

(4)心理的虐待 121,325件 59.2%増(〃)

総計は205,029件です。特に心理的虐待が59.2%増加しています。心理的虐待とは、言葉による脅し・無視・きょうだい間での差別的扱い・子どもの目の前で家族に対して暴力をふるう(面前DV)・兄弟に虐待行為を行なう、などの事を言います。この増加は、明らかにコロナ自粛で大人がイライラした結果、そのしわ寄せが弱い子どもに向けられた結果と言えるのではないでしょうか。これらの件数の情報源は、警察が50.5%、次に近隣・知人13.5%、家族・親戚が8.2%と続きます。学校は6.7%です。

 

長野県での児童虐待対応件数は2,825件。前年は2,804件で、21件増1%の増加です。全国12番目の多さです。昨年は11番目でしたから、1段階下がりましたが、改善されたとは到底言えない数字です。上位は大都市圏に集中しているので、地方都市としてはかなり上位と言えます。なぜ長野県は大都市圏に匹敵するほど多いのでしょうか?長野県の内訳はまだ発表されていませんが、多分昨年とあまり変わらない数字だろうと予測されます。

 

長野県の件数を月別で見ると、最も多い月が7月309件、ついで6月278件、9月263件。因みに昨年は最も多い月が9月294件、次が7月267件でした。夏休みをはさんだ前後で多い傾向が伺えます。昨年も今年も8月は、7月・9月に比べると下がっています。そこにどんな理由があるのでしょうか?単なる偶然でしょうか?その理由を探ることは、長野県の児童虐待を考えていく上で鍵になるかも知れません。

 

虐待による死亡事例等の報告もありました。平成31年4月~令和2年3月まで全国で72例(78人)あり、その概要は心中以外の虐待死が57人。重症事例(身体的虐待およびネグレクトにより、死亡には至らなかったが、危険性があった)が13人。合わせて70人に及びました。約半数が0歳児で、加害者は実母が半数以上を占めています。

 

これまでマスコミで大きく報道されてきた虐待死は、実父または実母の再婚相手等でした。実母は虐待を見て見ぬふりをして悲劇を招いたという印象がありました。しかしこの報告を見ると、加害者の多くは実母であり、予期しない妊娠だったり、本人が抱える問題として養育能力の低さが原因とされています。

では、どのような対策が考えられるのか。重大な事例について調査・報告がされています。

 

1.実父母だけでなく家族全体の生活実態の把握とアセスメント(客観的な評価)の必要性。

2.切れ目のない支援と関係機関の連携とネットワークの構築。

3.ネグレクトを認識する視点とアセスメントの重要性。

4.障がいのある保護者や障がい者のいる家庭への専門職を活かした支援 

5.予期しない妊娠に伴う妊娠届の未届け及び、妊婦健康診査見受診の妊婦の把握。

 

これらが重要課題として挙げられています。

 

また、虐待死の原因となったネグレクト(第5次(H19.1.1~H20.3.31/1年3ヵ月)~16次(H30.4.1~H31.3.31)約200人の事例についてその傾向を分析した報告がありました。この報告を読み進めて行ったとき、気になったことが何ヵ所かありました。まず、加害のきっかけとなった子どもの状況が「特になし・不明」が84%を占めていました。もう一つ、子どもの死亡時点で実母を支援してくれた人の有無で、51% が有りで、不明30%、無しが19%でした。実母を支援してくれた人が約半数居たにも拘わらず、ネグレクトにより死亡するのは何故でしょうか?実母の養育能力が低く、誰も支援する人がいないためネグレクトが原因で亡くなるという構図だと勝手に思い込んでいました。

 

最後に、国への提言で8項目挙げられていました。最後の項目で「子ども自身の意見を適切に表現できる仕組みの検討」が明記されていました。自分の意見を表現できる年齢に達していないと無理ですが、具体的な言葉で無くても、常に子どもの話に耳を傾け、決してサインを見逃さないことが虐待防止に繋がるのでは思います。国の提言では、児童相談所や市町村やその他の機関との体制強化を謳っていますが、もう少し民間レベルの小さな単位を巻き込み、地域全員で見守る体制が必要ではないかと考えます。専門家だけに任せるのではなく、子育て経験があれば感じること、見えてくることがあるはずです。

 

子どもの虐待は、他人ごとではなく身近に起こっているかも知れないという自覚を持つことが大事です。そしてどんな小さなことでも気づくという感性が必要になると思います。そうすれば虐待を少しでも減らせるのではないでしょうか?子どもの泣いている顔や辛い顔を見ることほど、胸が張り裂けそうなることはありません。絶対あってはならない事です。

 

日々普通に生活している中で、虐待なんて身近には起こるはずがないと楽観的になるのではなく、少しでもいいので近所にいる子どもの話に耳を傾けてみませんか?

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