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こども食堂のおばちゃんのコラム

厚生労働省「支援対象児童見守り強化事業」について

画像:まぽ/イラストAC

前回、厚労省から発表のあった「児童相談所での児童虐待相談対応件数~速報値」についてこの場で報告しました。今回は国の「支援対象児童等の見守り強化事業について」の報告をします(→「令和2年度 児童虐待速報値」から考えること)。

 

平成16年児童福祉法が改正され「地方公共団体は、要保護児童の適切な保護を図るため、必要な情報の交換を行なうとともに要保護児童等に対する支援の内容に関する協議を行なう要保護児童対策地域協議会(以下「協議会」という。)を置くことができるものとする(第25条の2第1項及び第2項関係)」(厚労省「児童福祉法の一部を改正する法律」の施行について より抜粋)が明記されました。端的に言うと虐待される恐れのある子どもを守るための対策地域協議会設置を法律にはっきり謳ったものです。

 

政府は令和2年度第3次補正予算で児童虐待・DV対策等総合支援事業として36億円計上しました。これは、コロナ禍で子どもを見守る機会が減少し、子どもの虐待リスクが高まる可能性が高いことから、市町村の「要保護児童対策地域協議会」が中心となって、登録されている子ども等の家を訪問、食事・学習・生活全般等について見守る体制を強化する事業です。ただし、登録されている子どもだけでなく、地域から孤立しがちな子育て家庭や妊娠・子育てに不安を持つ母子も含まれています。子育て支援をする民間団体等(こども食堂・子ども宅食など)に補助金を交付し実施していく事業です。ただ残念なことに長野市にも「要保護児童対策地域協議会」が設置されているようですが、筆者が不勉強のためか協議会がどのように機能しているか詳細は分かりません。また長野市のどこのこども食堂と連携しているのかも不明です。

厚労省から発表された「経済財政運営と改革の基本方針2021について」(令和3年6月18日閣議決定)では「子どもの貧困の解消を目指し、子ども食堂、子ども宅食、フードバンクへの支援、地域における居場所づくり、見守り支援等を推進する」と明記されました。

 

令和3年7月現在、「支援対象児童等見守り強化事業」に全国で39都道府県102市町村、230カ所が事業を実施しています。ただ、長野県では富士見町1カ所だけです。「中高生・若者ほっとキッチン・無料学習塾」を運営している筆者もこの事業について今回初めて知りました。どうもあまり広く広報されていないようです。

 

令和2年度の事業で全国の実施例が報告されたので、今回3件の概要を紹介します。

青森県弘前市

最初は青森県弘前市です。一般社団法人に事業委託、こども食堂を核として「地域共生社会」を推進,各こども食堂からの情報収集により見守りが必要な児童を発見,宅食により児童と繋がり、必要に応じて地域資源・公的支援につなげています。また通信機能付きタブレット端末の貸与で、ネットワーク環境の無い家庭に学習支援を提供という試みを実施。令和2年10月~令和3年3月まで見守り対象児童79人と報告されました。

三重県桑名市

次に、三重県桑名市の事例です。桑名市は子ども総合センターが核となり、NPO法人のこども食堂ネットワークに委託、ネットワークに加入している3団体と連携。こども食堂が宅食やフードパントリ―を実施時に気になる子どもがいれば随時状況を子ども総合センターに報告、そこから必要な機関に繋げるという取り組みをしています。昨年は64人の子どもが対象となりました。また宅食等のボランティアに対し研修も実施されました。

宮崎県日南市

3番目は、宮崎県日南市。市社会福祉協議会が事業主体です。経済的に困難な状況の子どもの家庭に月1回食材や生活必需品を宅配、講習を受けたボランティアが行ないます。訪問先を1人は固定し、もう一人と一緒に2人で訪問・宅配します。そこで良好な関係作りをし、より良い支援に繋げています。最初は7世帯から始まり7カ月後には22世帯にまで増えました。社協ですから、食材や日用品の寄贈の協力依頼がしやすいと思われます。

この3事例で共通していることは、各家庭と良好な関係性を築くことの大切さです。それが子どもの見守りに最も重要な事です。良好な関係を築くことで困りごとを率直に相談でき、きめ細かい支援に繋がり、虐待防止の一助にもなります。こども食堂が主体的に事業に関わることで、子どもの見守りが強化されました。それが子どもの虐待防止や貧困対策に必要不可欠であることが、事例を見て強く感じました。

 

コロナが蔓延する以前、こども食堂を開催している方々と行政の方を交えて意見交換をしたことがあります。こども食堂の皆さんから、「本当に必要としている子が来ているのかわからない。昼食時に来て、食べて、食べ終わると帰っていく。ファミレスのような場所になっているのでは?ただ楽しかっただけでいいのだろうか?」という悩みが寄せられました。困っている子どもが必ずどこかにいるはずなのに、所在が分からない。手を差し伸べられないというジレンマがあります。

 

この「支援対象児童等見守り強化事業」は、前述したように「子どもの貧困の解消を目指し、子ども食堂、子ども宅食、フードバンクへの支援、地域における居場所づくり、見守り支援等を推進する」と厚労省が明記しています。全国ではこども食堂と連携しながらこの事業を推進しています。

 

是非長野県でもこの事業を、こども食堂との連携を視野に入れて推進していただくことを切に願っています。

 

 

参考:厚生労働省こども家庭局家庭福祉課虐待防止対策推進室 発表

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