まいぷれ長野の少し役立つコラム
2022年度学習風景 第1・3土曜主に理科・社会
写真:輪っと集まれ!中高生・若者ほっとキッチン・無料学習塾提供
2023年度学習風景 第2・4土曜日 主に国語・数学・英語
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これまで、ベトナムの子ども達の学習支援について報告してきました。今回は文科省から昨年12月に発表された「外国人児童生徒等教育の現状と課題」について、実際子どもの学習支援を行っている立場から読み解いてみようと思います。
過去のベトナムの子ども達の学習支援についてのコラム
まず、国の方針は以下の通りです。
外国籍のこどもを公立義務教育諸学校へ就学させることを希望する場合、国際人権規約等を踏まえ、無償で受け入れており、日本人児童生徒と同一の教育を受けさせる機会を保障
出典:文部科学省
外国籍の子どもの場合、日本の子どもと違って義務教育ではありません。つまり親は子どもを学校へ行かせる義務は無いということです。極論を言えば、親が子の就学を希望しない場合、無理に学校へ行かせなくても良いと言い換えられます。
令和3年度の調査で、外国人児童生徒の母語(公立小中学校42,469人)のうち最も多い言語はポルトガル語11,165人、次が中国語8,701人、フィリピン語6,356人、スペイン語3,373人、ベトナム語2,520人でした。
日本語指導が必要な児童生徒は10年前に比べ約1.8倍に増加。公立学校に在籍する外国籍児童は全体114,853人、そのうち日本語指導が必要な児童生徒は41.5%でした。
長野県では外国人住民数は2022年度38,101人。1位が中国で8,054人、2位がベトナムで5,930人です。特にベトナムは2013年度740人でしたから、9年間で約8倍に増加しています。他の国はほぼ横ばいですから、ベトナムの増加は突出していると言えます。
県全体で、日本語指導の必要な児童生徒(日本国籍・外国籍の合計)は696人全国で17番目の多さです。人口比で言えば長野県はもっと上位に位置するでしょう。ちなみに一番多い県は愛知県で12,738人、二番目が神奈川県で7,298人です。
長野市を見ると、外国人居住者は全体では2022年12月現在4,056人、前年より124人増加しています。外国籍児童生徒は小学校32校96人、中学校14校50人(令和3年5月1日現在)計146人でした。国籍は12ヶ国。一番多い国籍は中国116人、その他は一桁に人数でした。この資料は令和3年なので、ベトナムの子どもはゼロでした。筆者が関わっているベトナム国籍の子どもは小学校1人、中学校1人、ベトナム由来の子どもが3人です。その他、周辺市町村にも複数いますから、増加傾向にあります。今年に入り外国との往来制限が無くなったため、3~5月にかけて複数の子どもが来日しています。今後もっと増えてくるものと推測されます。
令和3年度の調査では、全国で約1万人の外国人の子どもが就学していないか、または就学状況が確認出来ていないことが判明しました。そこで、国として就学促進を図り、日本語指導が必要な児童生徒に対して指導・支援体制の充実と、日本人・外国人の子どもの日本語指導が必要な場合、学ぶ環境を創出することで活力ある共生社会の実現を図ると謳っています。
外国籍の児童生徒のための「特別の教育課程」について文科省で次のように定めています(平成26年)。
①指導内容:児童生徒が日本語で学校生活を営み学習に取り組めるようなるための指導
②指導対象:小・中学校段階に在籍する日本語指導が必要な児童生徒
③指導者:教員免許を有する日本語担当指導教員、または日本語指導担当教員+指導補助者
④授業時数:年間10単位時間から280単位時間を標準とする
⑤指導の携帯及び場所:原則児童生徒が在籍売る学校における「取り出し」指導
⑥指導計画の作成および学習評価の実施:計画及びその実績は学校設置者に提出
出典:文部科学省
この制度導入により学校教育における日本語指導の質の向上、地域や学校の関係者の意識と指導力の向上、組織的・継続的な支援の実現を目指すとされています。そして「外国人のこどもの就学促進及び就学状況の把握等に関する指針(令和2年7月1日 文科省)」では、「外国人のこども達が将来に渡って我が国に居住し共生社会の一員として今後の日本を形成する存在であることを前提に、日本における生活の基盤を身に付け、その能力を伸ばし未来を切り拓くことが出来るよう、外国人のこどもの就学促進および就学状況の把握等のために地方公共団体が講ずべき事項を指針として策定」と位置付けています。
この支援事業の具体的内容は(令和5年度版)以下の通りです。
⑴帰国・外国人児童生徒等に対するきめ細かな支援事業
①運営協議会・連絡協議会の設置②日本語指導補助者、母語支援員の派遣③幼児や保護者を対象としてプレスクール④親子日本語教室⑤オンライン指導や多言語翻訳システム等ICTを活用した教育・支援⑥高校生等に対する包括的な教育・支援
⑵外国人のこどもの就学促進事業の実施項目
①不就学等の外国人のこどもに日本語、教科、母語等の指導のための教室②前述の教室の指導を行う指導員の研修③就学状況や進学状況に関する調査④日本の生活・文化への適応を目指した地域社会との交流
出典:文部科学省
長野県は⑴、⑵共に実施されています。但し、民間レベルで活動している任意団体は、行政と連携は取れているのか不明です。少なくともほっとキッチンは、行政・学校と密に連携しているとは言い難いのが現状です。
ほっとキッチンでは、2022年秋からベトナムの子ども達の学習支援を始め、今年6月現在、週1回ベトナム由来の子ども達、小・中合わせて5名の学習支援をしています。講師は信州大学教育学部と工学部の学生6名でローテーションを組んで勉強を教えています。県や市また他機関から委託・連携している訳ではなく、賛同して下さる方々からのご寄附によって運営費用を捻出しています。
毎週通ってくる子ども達は、「日本が大好き。友だちもいっぱい出来てとても楽しい。将来は日本とベトナムの架け橋になるような仕事がしたい」と目を輝かせています。子ども達の素直な気持ちをずっと持ち続けられるよう、私達も頑張らねばなりません。国が策定している「帰国・外国人児童生徒等の教育の推進支援事業」の一端に、微力ながら関わっているのですから。
出典:文部科学省「外国人児童生徒等教育の現状を課題」、長野県多文化共生・パスポート室、長野市HP
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