外国由来のこども達の学習塾　その４　～半年たちました～

前回までのお話はこちらから（→その1、→その2、→その3）

昨年9月、中高生・若者ほっとキッチン・無料学習塾（略称：ほっとキッチン）では、外国由来の小中学生のための学習支援を始めました。今年3月でちょうど半年になります。

昨年10月、このコラム欄で2人の登校顛末記を2回に渡って報告。12月には学習支援編として野外学習の様子を報告しました。今回は学習編の第2弾です。

生徒は昨年6月に来日したべトナム国籍の中学1年の女の子と小学4年の男の子の姉弟。両親は一足先に来日し、生活の基盤を築いた後、子ども達を呼びよせる計画でした。しかしコロナが流行し外国との往来が制限され、子ども達は予定通り来日できなくなってしまいました。両親はなんとか来日できないか、手を尽くしたようですが中々思うようにはいきませんでした。それでも毎晩LINEで子どもたちと会話し元気を確認していたそうです。LINEがあって本当に良かったですね。そんなこんなでようやく昨年6月に来日できた次第です。

2人は夏休み明けから登校し始めました。日本語もボチボチ話せるようになりましたが、まだまだ難しそう。学校では、通訳をつけたり、国際室で特別に授業を受けさせてくれたりと、何とか溶け込めるよう配慮してくれています。

しかし、学習面ではそう簡単には日本の子どもと同等にはいきません。そこで学校の授業を補うために、9月から理科と社会を中心にほっとキッチンで信大教育学部の学生にお願いし、学習支援を始めました。11月からは数学と国語担当の学生も加わり、支援が本格化しました。毎週土曜日午前中2時間です。直ぐに成果が出るものではありませんが、徐々に子ども達は勉強が楽しくなってきたようでした。するどい質問をされて学生先生がタジタジになったこともあったようです。その様子が、子ども達と学生先生の奮闘記として2月25日付け信毎に掲載されました。興味にある方はご一読ください（→信濃毎日新聞デジタル）。

この半年間の子ども達の学習成果をみて感じたことがあります。それは国語力の必要性です。会話で意思疎通を図ることはできても、文章の読解力がないと先に進めません。テストの設問が簡単な言葉で表されていれば、理解して解答できるのですが、少し回りくどい言い方になると答えを知っていても正しく解答できないのです。もちろん会話力はとても重要ですが、学校に通っている子ども達はそれ以上に日本語を理解する国語力の重要性を切に感じました。読解力が付けば、自ずと教科の内容が理解でき、勉強が楽しくなるはずです。

彼らは少しずつではありますが、学力が付いてきています。また教えている学生たちも外国由来の子ども達の指導方法を手探りながら掴み始めています。他の外国由来の子ども達にも是非参加して欲しいとチラシ等を配布したり、学校関係者にお願いしたりしていますが、なかなか希望者が名乗り出てくれません。困っていないのでしょうか？それとも何か他に理由があるのでしょうか？

今後、外国由来の子ども達がもっと増えてくるだろうと予測されます。子ども達が日本社会に早く溶け込んで差別のない社会になることを望んで止みません。お互いを知り、理解し合えば喧嘩なんか生じません。ましてや戦争なんて起こることなどあるはずが無いと確信しています。まずは草の根から信じ合うことが必要です。それは誰でもできることです。もし、この記事を読んで外国由来の子ども達を知っている方がいらしたら是非その家庭に一声かけ下さい。

最後に。

理科と社会の学生先生は、3月に大学を卒業、社会人になります。3月18日の学習日が最後になりました。半年間と短い期間でしたが、確実に子ども達と学生の間に絆ができました。小さいけれど堅固な日越の架け橋ができました。4月から、引き続き信大教育学部の新4年生が彼らの学習支援を行ってくれる予定です。国籍問わず（日本の子も可）学校へ行きづらさを感じている子や学習の遅れが心配な子も受け入れます。是非ほっとキッチンの「外国由来のこども達の学習支援」に試しで良いので参加してみてください。

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