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こども食堂のおばちゃんのコラム

こどものコロナ感染について

~日本小児科学会の報告で分かったこと~

画像:麦/イラストAC

11月11日 公益財団法人日本小児科学会から「小児のコロナ感染症について医学的知見の現状 第2報」が公表されましたので、今日はその内容について報告します。

 

11月に入り、長野市の中学校3校で感染者が確認されました。クラスターが発生するのでは?と危惧されましたが、幸いクラスター発生には至りませんでした。学校も3日間の休校に止まったようです。また12月になると中学校と高校、各1校ずつ感染者が出たとニュースが流れていました。徐々に学校現場にも感染者が出始めています。

 

日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会の報告では、学校や保育の場でクラスターが発生しているが、社会全体からみると少なく、子どもの感染の多くは家庭から起こっているそうです。この報告で子どもは大人と比べ感染しにくい可能性が示唆されました。また症例は大人と比べ軽症で死亡例はほとんど無く(日本では0)、経過観察または対症療法が選択されているのが現状だそうです。

 

実際に長野市の小児科医院でも、解熱やせき止め等症状を和らげる薬で治療していると、9月に北信こども食堂ネットワーク勉強会で講師を勤めてくださった増田先生が報告してくださいました。(こどもとWithコロナ どう向き合うか 参照)

日本小児科学会の報告に戻ります。2ヶ月前の10月7日時点で、10歳未満の患者総数は2,112人(2.4%)、10歳~19歳では4,399人(5.1%)合わせて7.5%と大変低い数字です。そして小児症例の77%は家族からの感染だったそうです。

 

また、海外の報告によると、小児はほとんど学校での感染には関わっていません。例えばオーストラリアでは、15の学校で18人の感染者(内訳:子ども9人、教職員9人)が出て、863人の濃厚接触者がいたにも関わらず感染が確認されたのは2人だけだったそうです。ヨーロッパでは9歳の感染した子が、有症状のまま112名に接触したにもかかわらず誰も感染しなかったという事例も報告されています。

 

日本全体でクラスター発生は1,352ヶ所(7月~10月21日まで。内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室による)うち、小学校で3件、中学校で5件、高校で10件、特別支援学校で0件、全体の1.3%と低い数字です。感染経路は、家庭内感染が小学生75%、中学生68%、高校生は32%と高い数値が出ています。一方、学校内感染では小学生2%、中学生7%、高校生33%と大人に近づくほど学校内感染の数値が上がってきます。

今年の流行語大賞に選ばれた「3密」~密閉、密集、密接~から考えると、小学生が3密の度合いが一番高いように思います。大声で騒いだり、友達同士でくっついたり離れたり、皆でワイワイガヤガヤ、周りのことなんか気にしない、というのが子どもの特権でもあります。そんな子どもたちが大きくなるに従って、大声で騒がなくなり、友達とも少し距離を置くようになる。そう考えると3密が好きな小さな子どもたちは感染率が低く、好きか嫌いかは別問題として、3密やソーシャルディスタンスを声高に叫んでいる大人たちの感染率が高いというのは皮肉なものです。

 

また、子どもの感染の特徴は、症状は軽く重症例は4.4%、重篤例は0.9%だそうです。初発例はほぼ大人と同じですが、発熱は43.1%(成人は82%~98.6%)、咳は43.4%(成人59.4%~82%)、多呼吸・息切れ12.6%(成人31%)。子どもの特徴として下痢症状6.6%(成人2~3.8%)が成人より高い数値であると述べています。子どもの治療は、ほとんどが軽症であることから経過観察または対症療法がとられています(前述)。大人に使用している抗ウイルス薬レムデシビルなどは、子どもには有効性、安全性が確保されていないため使用せず、あくまで対症療法で対応しているとの事。

 

コロナ禍では、感染よりも子どもへの心身に及ぼす影響が懸念されます。インフルエンザの場合は子どもの感染から家庭へそして社会へと流行が拡大していくそうですが、コロナの場合は逆のベクトルが働き、社会の流行が家庭へ、そして学校や保育施設へ感染していくという図式になっていることが多いようです。

 

報告では、感染流行への予防としての学校の休校は、3密やソーシャルディスタンス等の予防効果に比べ、その効果は低いと述べられています。休校はむしろ社会の弊害になる、なぜなら子どものいる医療従事者は就労困難となり結果的に医療資源が失われ、死亡者の増加に繋がっていく恐れがあると指摘しています。

 

このように学校の休校は決して子ども達のためにはならないという結論になります。単に子どもの教育の機会を奪うだけでなく、屋外活動や社会的交流の減少に伴い子どもを抑うつ傾向に陥らせているという記述もありました。また、社会活動の自粛に伴い親子で自宅に引きこもることがあれば、ストレスがたまり、家庭内暴力や児童虐待のリスクが高くなります。その上、暴力や虐待に対応する福祉施設職員に子どもがいれば、通常通り就業できない状況になり、ますます暴力や虐待に拍車がかかる恐れがあると指摘しています。家庭内のことは外から見えにくいという特徴があり、こうした事態は決して看過できません。

 

最後に、日本小児科学会の報告書では「子どもでは、コロナが直接もたらす影響より、コロナ関連健康被害の方が大きくなることが予想される」と結んでいます。

以上の報告を筆者なりに要約すると、

1.子どもの感染は家族からのものが大多数で、重症化しないこと。治療は対症療法である事 

2.学校でのクラスター発生は0ではないが、ごく稀な事 

3.自粛を子どもに過度に強要すると、かえって子どもの成長にとってマイナスになること  

4.一番大事なことは子どもの立場で、子どもを慮ること 

と言えるのではないでしょうか?

 

私たち大人は、つい大人の立場で子どもに制約を掛けてしまっているのかもしれません。今回小児科学会という専門的立場の先生からの現況報告を知ることで、大人と子どもではコロナに向き合う姿勢が同じでは決してないこと、最も注視しなければならない点は異なるということを念頭に置いて、子どもたちにとって一番大切なことを守っていくのが我々大人の責務だと思います。

 

いずれにしても、早くコロナが落ち着く方向に向かうことを祈るばかりです。

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