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木と草と土 そして 子どもたち ~金子みすゞの世界~

画像:nimoji / photoAC

幻の童謡詩人と言われた金子みすゞの詩について、理学博士の佐治晴夫氏が著した『詩人のための宇宙授業~金子みすゞの詩をめぐる夜想的逍遥~』を友人から勧められ読んでみました。金子みすゞは、テレビ等マスコミで多く紹介されなんとなく知っていましたが、じっくりとその詩を読んだことがありませんでした。今回佐治氏の著作を通して、何篇かの詩から彼女の子どもへの眼差しに触れてみたいと思います。

 

金子みすゞ(本名 金子テル)は明治36年山口県に生まれました。20歳ごろ(大正時代)から昭和初期の26歳まで詩作を続けました。その生涯は波乱に満ちたものだったそうです。彼女は26歳で自ら命を終わらせるのですが、それはひとり娘への愛に貫かれたものと言われています。

 

金子みすゞが見つめていた子どもへの慈愛に満ちた眼差し。それは、かけがえのないひとり娘への愛の伝言だったのかも知れません。彼女の言葉は、子どもや大人関係なく人間が持っている一番奥底にある芯の部分に語り掛けてくるような気がします。いや、むしろ彼女自身が子どもに戻って素直な気持ちを綴ることで、我々に話しかけているのかもしれません。

 

今回は私の心に響いた詩を私なりの解釈でご紹介します。

【土と草】

 かあさん知らぬ 草の子を、 なん千万の 草の子を、 土は一人で育てます。

 草があおあお 茂ったら、土はかくれて しまうのに

お母さんを知らないという草の子。でも実は土がお母さんなのかもしれません。遺伝子上のお母さんではなく、土は子どもを、そしてすべての草木をその滋養で育んでいるのです。土つまり大地が全ての土台です。自然が作ったものは全て土にかえります。

 

残念ながら人間が叡智を尽くして近代に生み出してきたものは土にはかえりません。便利さと手軽さは土にかえらないのです。「母なる大地」という言葉通り、土は何も主張することなく、草や木や花の命を守ってくれます。土がなければ植物は育たない。そして人間も育たないのです。でも土は自己主張しない。母の子どもへの無償の愛。この詩をサラッと読むと、草の子が主役のように思えますが、いやいや違う。なぜなら「土と草」がその題名なのですから。

 

簡単な言葉で綴られた詩ですが、とても壮大な詩ですね。なんだかとってもお母さんに会いたくなりませんか?

【木】

 お花が散って 実が熟れて、 その実が落ちて 葉が落ちて、 それから芽が出て 花が咲く

 そうして何べんまわったら、 この木はご用が すむかしら。

木は寿命がとても長いですね。何十年どころか、何百年、何千年という木も有ります。例えば世界遺産にもなった屋久島には縄文杉(樹齢推定2,000年)があり、その他の屋久杉は何本も1,000年を超えていると言われています。

 

木は何百年、何千年もの間その命を紡いでいます。同じ場所に根を下ろし、風雨にも耐え私たちを見守っていてくれます。生まれたばかりの赤ん坊が、1年後には歩きはじめる。そしてだんだん成長し子どもから青年へ、そして大人になる。やがて老いて土にかえる。何代もその繰り返し。木はその間、ずっと同じ場所で人間の営みをそっと包み込みながら見守り続けています。

 

先日、飯綱町袖之山にあるしだれ桜を見にいきました。まだ蕾でしたが、満開になればさぞ豪華絢爛だろうと予想されます。推定樹齢320年。このしだれ桜が生まれた1700年頃と言えば江戸時代5代将軍綱吉の頃でしょうか。江戸時代の人々が苗木を植えて土地の人々が代々大事に守ってきた。そして今老木となり見事に私たちを楽しませてくれる。命を繋いでくれた人々のお陰です。そして何より木の生命力の賜物です。このしだれ桜はどんな人々を見続けてきたのでしょうか?どんな子どもたちを見守り続けてきたのでしょうか?320年前の飯綱に住んでいた村人たち。ひょっとしたら、私たちの誰かと繋がっているかもしれません。そう想像するとちょっとワクワクしませんか。

みすゞは言います。

「春になると花が見事に咲き私たちに感動をもたらしてくれる。初夏になると実が熟れて誰かのお腹を満たして命を繋ぐ。秋になるとその実と葉っぱが落ちて、土の肥やしになる。そして冬は土と共にその寒さを凌ぎじっと春を待つ。また春がやって来ると芽がでる。そしてまた花が咲く。自然はこの繰り返し」

何十年何百年と繰り返し、木は私たちを優しく見守り続ける。それが木の使命とばかりに。

 

私たちの日々の営みは、同じことの繰り返し。花が咲いて散って、実がなって、実と葉が落ちて、また芽が出て花が咲く。木は花を咲かせて私たちに笑顔をもたらしてくれます。みすゞの自然への畏敬の念。自然は悠久の世界に私たちを誘ってくれるような気がします。

 

土と草と木。コロナ禍で日々の生活に追われてしまいがちですが、自分の身近にある木を眺めてみませんか?そして少しだけこの詩に想いを馳せてみませんか?子どもたちと静かにみすゞの詩の世界に一歩踏み入れてみませんか?

参考:佐治晴夫「詩人のための宇宙授業」

 

金子みすゞ(→Wikipedia

佐治晴夫(→Wikipedia

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