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映画 「沈没家族」 とっても面白かった!

今年4月劇場公開になったドキュメンタリー映画「沈没家族」を見に行ってきました。この映画は監督の加納土(つち)氏が幼少時自身を保育してくれた若者たちを、大人になってから追跡したドキュメンタリーです。大学の卒業制作として撮影したものを劇場版に編集、今春公開されました。PFFアワード2017 審査員特別賞、第20回京都国際学生映画祭観客賞実写部門グランプリを受賞しています。家族の形とはなにか?人と人の繋がりとは何か。そんな問いを私たちに投げかけてくれます。

 

1990年代半ば、シングルマザーだった母、加納穂子さんがビラを作って保育人を募りました。穂子さんの一見破天荒とも思える呼びかけに多くの若者が集まり、息子の土君の保育が始まったのです。保育人は穂子さんが夜間専門学校に通う間、または外出する間、ローテーションを組み、幼子の土君の面倒を見るのです。この試みは「沈没家族」と名付けられ、共同保育・共同生活が始まりました。集まった若者たちは、純粋に保育をしたかった人もいれば、いろいろな人と繋がりたかった、一緒にご飯を食べる人が欲しかった等、様々な動機があったそうです。保育というツールを使って人と繋がりたいという当時の若者の心情だったのかもしれません。

 

沈没家族は90年代後半メディアで取り上げられたこともありました。映画では、当時の映像を交えながら、沈没家族のメンバーの現在と当時の想い出をインタビュー形式で取材しています。当時保育人同志で保育会議を開き保育ノートも綴っていました。土君以外にもう一人2歳年上のめぐちゃん母子も同居していました。

 

映画ではお父さんも登場しますが、お父さんとは呼ばず山くんと呼んでいます。小さいころから交流は有ったようですが、山くんを父と思ったことは無いと語っていました。ただそこには、悲壮感は全く感じられません。この共同保育・共同生活は答えが見えない実験的試みだったのでしょう。そして20年を経て、土君が大人になりこのドキュメンタリーを撮ったことで、その答えが漸く世間に示せたと言う事だと思います。彼は「知らないオトナに育てられ、結果,ボクはスクスク育った」と語っています。

 

映画の中で、私が個人的にちょっと笑ってしまったという場面を紹介します。穂子さんと山くん、よほど腹に据えかねるものがあったようで、リングを作り2人ともボクシングのいでたちで思いっきり殴り合うという写真が映し出されました。観客とレフリーは共同保育・共同生活者たち。ボクシングで憂さを晴らすという発想は誰が思いついたのでしょうか。2人の心情いかばかりだったのでしょうか。

 

もう一つ、共同保育人たちが肩に手を乗せ、みんなでジェンカを踊っている画面が映し出されました。なぜジェンカ?誰が言い出しっぺ?多分大した意味なんてないのでしょうが、思わず吹き出してしまいました。さらにもう一つ、映像のなかで山くんの部屋を映している場面があり「団結」と書かれた紙が貼りだされていました。また穂子さんが「人間解放」と紙に大きく書く場面がありました。これも “らしさ” でしょうか?

最後にちょっとシリアスに。山くんが叫びました。「沈没の人たちは出たり入ったりできるけど、俺はそういうわけにはいかない。ずっと土と関わっていかなければならないから」山くんは土君の写真をいっぱいアルバムにしていました。

土君と穂子さんのやりとりの後、映画の最後に土君のメッセージが映し出されました。詳しい内容は伏せますが、この言葉にすべてが詰まっているのでしょう。この映画を見て90年代に起こった共同保育の実験は成功だったと実感しました。

 

上映終了後、土君がトークイベントに駆けつけてくれました。撮影秘話でこんな話を明かしてくれました。山くんに会いに行ったとき、駅まで迎えに来てくれて、遠くから見てモヒカンのおじさんがいるけどまさか違うよな、そうだったら嫌だな~と思いながらカメラを回していたら、山くんだったと苦笑いしていました。いつもは違うんですけどね~と。映画では山くんモヒカン刈りで出演しています。土君のさわやかな語り口や時折冗談交じりのトークにこの映画を鑑賞出来て良かったと心から思えました。

 

まだまだ書きたいことはたくさんありますが、これを読んで下さった皆さん、是非この作品を見てください。血の繋がらない他人同士でも、家族のような連帯が生まれ、それを糧に生きていけると実感できると思います。何しろ土君という成功モデルが目の前にいるのですから。

監督の加納土氏 ~トークイベントで。

映画「沈没家族」公式HP

http://chinbotsu.com/

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