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こども食堂のおばちゃんのコラム

こども食堂の運営実態とその効果の調査報告

~厚生労働科学特別研究事業の報告書から~

画像:kidsnaco/イラストAC

2020年12月18日~2021年1月29日まで、厚生労働科学特別研究事業で、全国のこども食堂を対象に調査研究が行われました。その結果が公表されましたのでお知らせします(→NPO法人 全国こども食堂センターむすびえ 厚生労働科学特別研究事業)。

 

研究目的は、こども食堂は今後、高齢者や障がい者を含む地域の交流拠点に発展、地域共生社会実現に向けて、その役割を担うことが期待されていること。また、コロナ禍で孤立しがちで心身に影響を与えることが懸念されている中、各地域のこども食堂は地域の実情に合わせて運営方法を工夫していること。このように活動しているこども食堂の基礎データを収集し、今後の対応を検討することが目的とされています。

 

研究方法は、全国のこども食堂1,236団体(コロナ禍以前から活動)、全国都道府県36団体、市区町村726団体からアンケートの回答を集め、分析したものです。

 

調査結果で判明したことは、これまで漠然としていたこども食堂の地域で果たす役割の具体性がより明確に見えてきたことです。

 

2020年3月~5月、第1回緊急事態宣言が全国的に発出し、学校も全て休校となった時期に、活動を休止したこども食堂は50.9%、異なる活動に切り替えたところが40.1%、これまでと同様の活動を継続したのが9%という結果でした。その後約10ヶ月後の2021年1月の調査では、活動休止が26%と半減。異なる活動に切り替えたが48.5%に増加。感染前と同様の活動は25.5%にまで回復しました。言い換えれば、昨年の緊急事態宣言下では、約半数が何らかの形で活動していましたが、今年1月には74%に上昇、多くが活動再開していると言えます。

感染拡大前と比較すると、コロナ以前と同様の活動をしているこども食堂は、2020年では9%しかありませんでしたが、2021年では26%にまで回復しています。その中身を精査すると、興味深い傾向がありました。感染拡大時期でも活動を継続していたこども食堂は、

1.子育て・教育・貧困関係の支援にも関わっていたこと
2.開催頻度が高いこと
3.コロナ以前から他団体との連携があり活発に活動していたこと

この3点が共通していました。

 

また、コロナ以前とは異なる活動が増加したのは「フードパントリー ~食材や弁当を取りに来てもらうこと」でした。調理・会食が感染拡大に拍車をかけてしまうかもしれないという懸念があり、かといって全面休止にすると子どもたちが心配、という思いからだと推察されます。残念ながら長野県独自の調査は行なわれていないので、実際こども食堂がどのような形で開催されているのか、または休止しているのか定かではありません。長野県独自の調査が待たれるところです。同様の調査が行なわれれば、互いのこども食堂の状況が共有され、今後の活動に必ず役立つと思います。

 

我々のほっとキッチンの例を取ると「異なる活動に切り替え」になります。昨年緊急事態宣言時、1回だけ休止し、その後は学習支援とフードパントリーに切り替えました。参加者全員に開催について意見を求めたところ、ほぼ全員から継続して欲しいという要望がありました。コロナで世の中全体に閉塞感が漂う中、身近で信頼のおける場所と人々との交流が如何に大切か改めて想いを深くしたものです。

また地方自治体とこども食堂の連携についてのアンケートでは、人口の多い市で補助金・相談窓口、広報支援等が活発に行なわれているという結果が出ました。また「子どもたちの健全な育ちには地域の中に子どもたちが安全に過ごせる居場所が必要」であること、ただし「こども食堂=貧困対策というイメージが根強くあり、こども食堂に通う子どもは貧困と言うレッテルを張られることは避けたい」と言う意見もありました。

 

個別のこども食堂10ヶ所の聞き取り調査から見えてきたことは、

従来の福祉施策とは違った民間の非営利活動であるこども食堂が地域共生社会実現の「土台」を形成していること。食を通じて交流を促し、子どもから高齢者まで相互に作用、地域の担い手として育成されていくことが期待されることでした。

 

こども食堂の参加者は、特に条件を付けないので、いわゆる「地域の人」であり、食堂は「地域の人が集まる場所」であり、食事を通しての交流の場となっている。運営者と参加者という区別はなく、混然一体となっている。そして、こども食堂は地域共生社会に向けた地域の土台を形成し、住民自治の原点に立ち返る動きであり、こども食堂の想いは「つながりを作り、そこからこぼれる子どもや大人をなくしたい」であり、そこが原点の「支援」ではなく「交流」である、と結んでいます。

ここで言う地域共生社会とは?に思いを巡らせたとき、ふと「公民館活動」を思い出しました。いま地域では当たり前に公民館がありますが、今から70年以上前、第2次世界大戦後、地域が荒れ果てたとき、公民館設置が図られました。

「地域住民の実際生活に即する教育、学術及び文化に関する各種の事業を行い、もつて住民の教養の向上、健康の増進、 情操の純化を図り、生活文化振興、社会福祉の増進に寄与することを目的とする」として社会教育法が制定されました(社会教育法第20条)。

地域共生の原型と言えますね。特に長野県は公民館活動が盛んで、全国で初めて設置された公民館は長野県の妻籠公民館と言われています。そして1954年には県内設置率100%となりました(長野県公民館運営協議会HPより)。

 

北信地域のこども食堂は、会場に公民館や公的施設が多く利用されています。こうしてみると、1950年代から土台はできていたのかも知れません。3年ほど前に全国こども食堂ネットワークでこども食堂設置数の調査をしたところ、長野県はかなり上位にありました。理由は明らかにされませんでしたが、案外こんなところに素地があったのかもしれません。

 

今回の厚生労働科学特別研究事業の報告書から、今後こども食堂はその役割を充実させ、地域住民の橋渡し役となり、要となって発展を遂げていくことが望まれます。そして、子どもたちを軸に据えて地域が活性化していくこと、誰も取りこぼさない地域作りを望まずにはいられません。今後益々こども食堂の運営と役割を充実させ、地域共生社会を目指す一翼を担うことを目指したいと思います。

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