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こども食堂のおばちゃんのコラム

こどもの貧困 2019~2020 ~国民生活基礎調査の結果から~

 

 

画像:タカラバコ / PIXTA(ピクスタ)

7月17日、厚生労働省から『2019 国民生活基礎調査』の結果が発表されました。この調査は3年ごとに保健・医療・年金・福祉について大規模に行っているものです。この中から、子どもの貧困状況について、考察してみようと思います。ただし、所得状況については、2018年1月~12月まで、意識調査は2019年7月11日現在のものです。

子どもの貧困を語るとき、いつも出てくる言葉が相対的貧困率です。相対的貧困率とは、貧困線(等価可処分所得の中央値の半分)に満たない世帯員の割合を言います。2018年の貧困線は127万円で15.4%となりました。前回2015年では15.7%ですから少しだけ改善されたと言えます。子どもの貧困率をみると(17歳以下)13.5%、2015年は13.9%とこちらも若干改善されました。ただし、7人に1人の貧困は変わりません。大人が1人の家庭の子どもの貧困率は48.1%。大人が2人以上では10.7%と各段の差がでています。 

等価可処分所得とは......

世帯の収入から税金や社会保険料を差し引いた実質の手取り(可処分所得)を、世帯人数の平方根で割ったもの。各世帯の1人ひとりが実質上使えるお金。

近年の推移をみると1985年(昭和60年)では10.9%で、9人に1人でしたが、徐々に上がり2012年(平成24年)には16.3%にまで上がり、6人に1人の貧困となりました。これをピークにまた少しずつ下がり2018年は7人に1人という割合です。

 

但し、今年に入りコロナ禍で貧困率の大幅な上昇が予測されます。18日に発表された4~6月期のGDPが年率換算でマイナス27.8%と発表されました。この数字から見るとかなりの貧困率が上がると予測されます。

また貯蓄状況では、全世帯で、貯蓄がないと答えた割合が13.4%に対し母子世帯では31.8%と2.5倍になっています。

 

生活意識状況では、(2019年7月現在)大変苦しい・やや苦しい、を合わせると母子世帯の86.7%がそう答えています。全体では54.4%です。2016年の調査では、母子家庭は82.7%、全体では56.5%。これを単純に比較すると、母子家庭は2年後に苦しいと答えた家庭が4ポイント上昇、全体では2ポイント低下しています。母子家庭の貧困状況が確実に増えていることになります。

 

なぜ母子家庭だけが“苦しい”状況が増加しているのか、明確な答はわかりません。私見ですが、要因の一つとして考えられるのは消費税増税ではないでしょうか。増税は2019年10月からですから、調査の7月時点ではまだ上がっていませんが、増税で益々生活が苦しくなるだろうという心理があったのかもしれません。

 

これらは、コロナ禍がまだ始まる前の数字です。景気がまだ大幅に下降していない状況でした。

そして、2020年に入るとコロナが世界中に蔓延し始め、経済が一気に下降に転じる状況となりました。リーマンショック以上の景気の低迷と言われています。この状況が、子どもの貧困にどのような影を落とし始めているか、具体的な数字がまだ示されていません。ただ確実に生活を脅かしていることは間違いありません。

 

コロナ禍でひとり親家庭の家計が急変しているという記事が新聞に掲載されました(朝日新聞 8月24日付)。5月に一般社団法人ひとり親支援協会がアンケートを取ったところ(回答数1,292人)、去年より収入が減った・または減る見込みと答えた家庭が67%。支出が去年より増えたと答えた家庭が86%に上ったそうです。支出増加は、休校に伴う食費や光熱費の増加によるものと考えられます。家計がひっ迫している家庭には児童扶養手当が支給される制度がありますが、これは前年度の所得で審査されるそうで、今コロナ禍で家計が急激に落ち込んで、児童扶養手当支給対象になるとしても、実際支給されるのは再来年以降になるそうです。

長野市では独自に、ひとり親世帯支援事業として『児童扶養手当特別加算金』が支給されることが決まりました。ただし支給要件は令和2年6月に児童扶養手当を受給した家庭となっています。つまりコロナ禍で急速に悪化した家庭は対象になっていないようです。(長野市HPより)

 

また、国でも『ひとり親世帯臨時特別給付金』の支給が決まったそうです。児童扶養手当が支給されていなくても、コロナ禍で家計が急変した家庭で、要件が満たされれば支給されるそうです(長野市HPより)。これだけで生活が安定するとは到底思えませんが、こうした支援が、経済が安定するまで続くことを願うばかりです。

実際、身近なところで、コロナで仕事が無くなった・減ったという話を耳にするようになりました。親が職を失い転校せざるをなくなったとか、食費を切り詰めていると言った話が聞こえてきます。貧困がもたらす子どもたちの心の問題。虐待も懸念されています。親に余裕がなくなれば、心理的虐待や身体的虐待が増えるのは自明の理です。昨年度は子どもの貧困が7人に1人というデータが出ましたが、確実に今年度以降は6人に1人、いや5人に1人という数字になるだろうと予想されます。

 

では、私たちは子どもたちが安心して暮らしていけるために何ができるのでしょうか?

景気は当分上向きになりそうにありません。また底がいつなのか検討も尽きません。有効な手立てがなかなか見つかりません。生活費の援助は国や自治体に任せるとして、民間で何ができるだろうと思いあぐねています。本来ならこども食堂で、1食でも無料で温かいご飯が食べられればいいのですが、3密を避けることを第1に考えると、現在の状況ではそれもかないません。

 

そこでほっとキッチンでは、5月からフードパントリーを隔週で始めました。特にひとり親家庭とか、家計が急変した家庭だけと絞ってはいませんが、“お互い様”という言葉をモットーに続けています。今後もアンテナを伸ばして、必要としているがなかなか声を上げられない家庭に“お互い様”が届くように活動を続けていきたいと考えています。

 

こんな事しかできませんが、いま出来ることを常に考えながら、今後も微力ながら続けていこうと思っています。

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