地元暮らしをちょっぴり楽しくするようなオリジナル情報なら、長野の地域情報サイト「まいぷれ」!
文字サイズ文字を小さくする文字を大きくする

長野の地域情報サイト「まいぷれ」長野市

まいぷれ長野の少し役立つコラム

こども食堂のおばちゃんのコラム

ドキュメンタリー映画「沈没家族」上映会 主題歌はMONO NO AWARE!

加納監督(左から三番目)スタッフと共に。

10月6日の日曜日、ドキュメンタリー映画「沈没家族」の上映会を行いました。ちょうど運動会や秋の多彩な行事と重なり、皆さん来てくれるかな~と心配しましたが、約60名の方が足を運んでくださいました。また当日加納監督(25歳。主人公で監督)も駆けつけてくださり、上映終了後1時間ほどトークイベントをしました。

 

映画「沈没家族」については、6月のコラムで書きましたが、今回は第2弾です。前回映画の内容を中心に書きましたが、ここでちょっとだけおさらいしておきます。1990年代後半、東京中野区でシングルマザーだった母親のホコさんが、息子の土君1歳(監督)をいろいろな人と育てたら、子どもも大人も楽しいのでは?と考えビラを作成。近所に撒いたところ、10人ほどの若者が呼びかけに応じ、共同保育が始まりました。この試みは土君が9歳になるまで続けられました。ただし、この共同保育とは仕事を持つ母親同士が部屋を借り、当番を決めて保育するのではなく、全く見ず知らずの若者と母子が集まり当番制で子どもの面倒を見るというものです。そして「沈没家族、沈没ハウス」という名称は、当時の政治家が「男女共同参画が進むと日本が沈没する」という発言を聞いたホコさんが逆手にとって命名したそうです。一種のパロディですね。因みに、「万引き家族」と似たような内容と誤解されると監督は苦笑いしていました。お父さんは「山くん」と呼ばれていて、別の場所に住み、定期的に会っていたそうですが、父親と思ったことは無いそうです。だからと言って、憎み合っているわけではなさそう。父親としての山くんにもそれなりの葛藤があったようです。監督9歳の時、ホコさんと八丈島へ引っ越し、沈没家族の生活は幕を下ろしました。

 

前置きはこれくらいにして、今回はトークイベントでお話していただいたことを中心に書いてみます。

 

まず監督のお名前。「加納 土(かのう つち)」、本名です。あまり聞いたことがない名前ですね。どんな気持ちでお母さんは名付けたのでしょう?と尋ねたところ、「当時鎌倉に住んでいて、朝ゴミを出しに行ったらちょうど道路工事中で、いつものアスファルトが剥がされていて土の匂いがした。それで土と付けた」そうです。なんて自然体なのでしょう!

 

学校ではどんな子だった?という質問に、優等生だったという返事。つまり沈没ハウスへ帰るとそこはカオス(混沌、無秩序)状態。昼間からお酒を飲んでいる大人がいたり、知らない人が出たり入ったり。だから学校では、なるべくいい子でいなければと思った。一番辛かったことは、学校では優等生、沈没ハウスはカオス。そこを行ったり来たりすることがとても辛かったそうです。嫌な大人がいると、2階に上り好きな大人のところへすんなり行けたことは、とても良い思い出になっているとのこと。また運動会には、大勢の大人たちが押しかけみんなでワイワイガヤガヤと応援してくれる。友達は親くらいしか来ないのに。でも全然嫌ではなかったし、違和感もなくむしろ楽しかったそうです。

 

将来同じような家庭を持ちたいかという質問に、「まだ25歳なので全く考えていないし、予定もない。ただ言えることは、親と子どもだけの家庭ではなく、別の大人がいつもいるような家庭にしたい」という返事が返ってきました。昭和の中頃まで、日本には核家族という言葉はなく、おじいちゃん、おばあちゃん、おじさん、おばさんが同居する大所帯が当たり前だった時代がありました。子どもは様々な大人の中で育てられ、自然と世の中にはいろんな大人がいるということを学んでいたのです。親と子どもだけという家庭は、昭和30年代ごろから都市を中心に急速に増加していきました。生活スタイルも欧米化し、核家族化していったのです。様々な大人が様々な形で子育てに関わることが昔の日本の伝統文化であり、おおらかさだったような気がします。そして今だからこそ、社会の変化と家族の有様に一石を投じるような、昔の家族を彷彿とさせるような「沈没家族」という映画が共感されるのかもしれません。加納監督はその良きモデルとも言えるでしょう。家族とはこうあらねばならないという考えは、ただの幻想だったのかもしれません。そこには大義名分など一切なく、一癖も二癖もある大人が、子どもを軸にしてゆる~く繋がっていく。監督は「母へ、たまたま生んでくれてありがとう。沈没家族の人たちへ、たまたま僕を育ててくれてありがとう。そして面白い家族のなかで育ててくれてありがとう」と締めくくっています。

 

上映会終了後、足を運んでくれた皆さんから感想をいただきました。女性の多くはホコさんの生き方の斬新さに感動し、男性は社会での子育ての在り方、山くん(父親)への同情が寄せられました。また共同保育をした当時の若者が20年経ってどんな大人になったのか興味深かったという意見も寄せられました。

 

皆さん、機会があったら是非鑑賞してください。考えさせられることも多いけど決して暗い映画ではありません。結構楽しめます。

 

最後に、主題歌を歌っているMONO NO AWAREは八丈島の高校の先輩で、その縁で主題歌を担当してくれたのだそう。MONO NO AWAREのファンの方、歌を聞きたい方、是非映画を見て感じてください。決して裏切りませんから。

上映後のトークイベントで熱弁を振るってくださいました。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

長野市で中高生・若者(10代)を対象としたこども食堂を運営しています。

こども食堂への疑問・質問を受け付けていますのでお気軽にどうぞ♪

 

こども食堂への質問はこちらから♪

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

輪っと集まれ!中高生・若者ほっとキッチン・無料学習塾

こども食堂(中高生・若者対象)

子どもも大人も思わずニコッ! 食事には不思議な力があるんです

長野市南県町688-2 長野県連合婦人会館2階(事務局)

PICK UP 長野のお店 ~学ぶ・スクール~