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「こども・若者の意識と生活に関する調査報告書」を読んでみました

画像:PIXTA(ピクスタ)

今年3月、内閣府から「こども・若者の意識と生活に関する調査」の報告書が公表されました。これは、子ども・若者を取り巻く現状及び課題を的確に把握し、国及地方公共団体における子ども若者支援策や家庭・学校・地域等における子ども・若者育成支援の改善・充実のための基礎資料として行われた調査です。

 

こども・若者の意識と生活に関する調査 (令和4年度)

 

今回はその調査結果について筆者なりに感じたことを述べてみます。

 

対象は10歳から39歳まで。有効回収数は、10歳~14歳1,520人(有効回収率54%)、15歳~39歳7,035人(有効回収率40.9%)でした。数ある設問の中で、気になった2項目①子ども・若者の意識 ②引きこもりについて見ていきます。

 

まず、子ども・若者の意識として安心できる場所と、相談できる人・助けてくれる人の有無について。

 

1.安心できる場所。(複数回答)

①家庭と答えた子ども・若者は 88%  

 その中で、

 ・相談できる人がいる 75.5%

 ・助けてくれル人がいる 93.3% 

②学校 〃 49.9%  

 その中で、

 ・相談できる人が居る 65.7%

 ・助けてくれる人がいる  76.1 %

③地域〃 52.8%

 その中で、

 ・相談できる人が居る 16.5%

 ・助けてくれる人がいる  33.7%

④インターネット 58.2% 

 その中で、

 ・相談できる人が居る 13.5%

 ・助けてくれる人がいる  15.7%

 

安心できる場所が家庭と答えた子ども・若者は一番高い数字でした。インターネット空間が2番目、地域が3番目、学校が一番低い数字でした。ただし、相談できる人がいる・助けてくれる人がいる項目では、家庭の次に学校でインターネット空間は極端に低い数字でした。インターネット空間は安心できる場所と言うだけで、相談できる人や助けてくれる人が居るわけではありません。

 

視点を変えれば、直に顔を見て人と触れあうより、仮想空間で自分だけの世界に入り込む方が安心できるという、現代の子ども・若者の特徴と言えるかもしれません。ただし、いざ困った時は、やはり相談・助けてくれる人が必要で、それが家庭や学校であると言えそうです。昔はインターネットが無かったので現代と比較はできませんが、今の子ども・若者は人との距離の取り方に苦手意識があり、これは現代の特徴と言えるかもしれません。

 

また安心出来る場所の数が多いほど自己肯定感、幸福感、チャレンジ精神、将来へ希望、社会貢献意欲が高い傾向が見られました。注目したいのは、安心できる場所が無いという回答者は自己肯定感が24.5%しかいないにも関わらず、6割以上が “社会のために役立つことをしたい” と答えていることです。また、“相談できる人がいる” “困った時に助けてくれる人がいる” でも同様に “0” と答えた子ども・若者も、社会貢献意欲は6割以上と高い数値です。

 

“安心できる場所が無い・相談できる人がいない・困った時に助けてくれる人が居ない” という事は、生きていく上でかなりしんどい状況だと予測されます。それでも、社会貢献意欲が高いという事は、社会の一員であるという自覚、決して殻に籠っている訳ではないという希望の光が見えてくるような気がします。こうした子ども・若者たちの意識を念頭に置いて、大人たちは彼らの底力をどのように引き出せるか、向き合っていく必要がある気がします。

 

もう一つ、「家庭が安心できる場所」が88%でしたが、裏を返せば12%の子ども・若者が安心できる場所ではないということです。何らかの事情で家庭以外の場所で生活しなければならない子ども達なのでしょうか。児童虐待件数が増加していると先日速報値で報道がありました。この数字を私達は忘れてはならず、何ができるか常に考えていかなければと思います。

 

先日、ほっとキッチンに毎回通ってくる子どもと保護者から、「心の籠った美味しい食事を振る舞ってくださり有難うございます。様々な問題を抱えていて、食事が喉に通らない、味も分からなくなる時があります。孤立感でいっぱいになります。でもほっとキッチンの食事を口にしていると、調理してくださるスタッフさんたちの心の籠った味付けと温かい思いやりに、頑張ろう!という気持ちが沸いてきます。食の大切さと皆さんの優しさが言葉では言い尽くされないくらい有難く思っています。一筋の光が見えてきた気がします。」このような感想をいただきました。繋がることが、いかに大切で重要か改めて考えさせられました。

 

次に引ひきこもり傾向のある人の調査結果です。これは15歳~39歳のアンケートです。

まず、自己認識について。

 

①自分は自分らしいものが有ると思う 84.1%

②今の自分を変えたいと思う 65.7% 

③人生で起こることは結局自分に責任があると思う 79%

④自分は幸せだと思う 84.4% 

⑤自分の親(保護者)から愛されていると思う 91.8%

⑥家族と楽しく話せる時がある 93.5%

⑦家族は困った時は助けてくれる 92.8%

⑩家族といつも繋がりを感じている 85.3%

 

この数字から見えてくることは、やはり家族の存在がとても大きいこと、自己認識は必ずしも否定的では無いという事です。引きこもり傾向になった原因は様々だと思いますが、自己肯定の要素が観られ、また社会の役に立ちたいという希望もあることが判明しました。前述したように社会への貢献の願望が、必ず心の中に潜んでいることも分かりました。どうやって何をすればよいのか、手探り状態なのかもしれません。

 

また、「自分は役にたたないと強く感じる」が31.1%と低い数字で、裏を返せば自分は役にたつと感じているが7割近いという結果でした。そして20年後「自分は幸せになっていると思う」が76%とこちらも高い数字が出ました。引ひきこもり傾向の人は、希望的観測かも知れませんが、決して自分に対しても他に対しても否定的ではなく、将来に悲観していている訳ではないと推測されます。

 

ただし、残り3割の子ども・若者は悲観的な見方をしていることになります。3割は大きな数字です。決して少数と捉えず、「一人も取りこぼさない」政策実現に向けて地道に取り組んでいかなければならない問題だと思います。

 

ほっとキッチンに参加している子ども・若者と接していて感じたことですが、大人が彼らを信頼し、出来ることを手伝ってもらい、助かったことが有れば正直にお礼を伝える。こうした何気ない小さな関わりの中で、彼らは満面の笑みを浮かべたり、照れ笑いをする。この些細なやり取りを重ねることで、彼らは自信を持ち社会と繋がっていく。この積み重ねがとても意義のある事だと、我々大人が子ども・若者から学んできたことのような気がしています。大きな政策は行政に任せるとして、日々の生活の中で、当たり前の事を当たり前として、こども・若者との関わりを深め、お互い信頼できる存在になれれば居心地よく過ごせるのではないかと思っています。

 

こども・若者の意識と生活に関する調査 (令和4年度)

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