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こども食堂のおばちゃんのコラム

世界の子どもの幸福度(ウェルビーイング)

 ~ユニセフ報告書【レポートカード17】から~

写真:PIXTA

2022年5月、ユニセフでは先進国の子どもの状況【レポートカード17】を発表しました。これは、「場所と空間―環境と子どもの幸福度」で、OECD(経済協力開発機構)とEU(欧州連合)に加盟する39ヵ国が、子どもに健全な環境を、どれだけ提供しているか比較したレポートです。今回はこのレポートカードについて考えてみたいと思います。

 

まず、日本は総合で39ヶ国中13位でした。1.子ども世界、2.子どもの周りの世界、3.世界全体の3項目にわけ、それぞれ順位を付けました。1.子どもの世界は2位、2.子どもの周りの世界は21位、3.世界全体は25位でした。

 

質問内容を簡単に言うと、例えば、

1.子どもは綺麗な水を飲めますか?

2.子どもは良質な空気で呼吸できますか?

3.家にカビや鉛と言った有害物質はありませか?

4.家は過密状態ではありませんか?

5.道路から緑のあるあそび場へ安全に行くことはできますか? 等です。   

 

ここで言う1.「子どもの世界」とは、空気、水、食物の消費、熱/寒さ、光、騒音、有害物質等が子ども達にどのような影響を与えているか、です。

 

2.「こどもを取り巻く世界」とは、自然環境や建築環境を指しています。家庭や周辺の公共施設、楽しさ、安全性はこどもの日常生活に影響を与えます。そして身体的、精神的健康、認知、感情、社会的発達に影響を与えるのです。

 

3.「世界全体」とは、子どものマイクロシステム(子どもを取りまく世界)を取りまく物理的、環境のより広範囲な側面を指します。例えば、先進国のCO₂排出量や廃棄物の量の違いです。特に電子廃棄物には水銀・カドミウム・鉛などがあり、人体や脳に大きな影響を及ぼし、特に子供に大きなダメージを与えてしまいます。

 

日本は、空気、水、食物、騒音、熱/寒さ、有害物質(カビや鉛)への配慮は39ヵ国中2位ですから、子ども達はとても恵まれた環境で生活していると言えます。因みに1位はフィンランド、3位はアイスランドでした。ただし、2の子どもの周りの世界でフィンランドは2位、アイスランドは1位ですが、日本は21位と大幅に順位を下げています。3の世界全体は25位とこちらは下位のグループになっています。

 

つまり環境面はトップクラスなのに、2と3はぐっと順位を落としてしまいます。家庭や周辺の公共施設、楽しさ、安全性といった身体的、精神的健康、認知、感情と言った部分で子どもたちに与える良い環境の整備に不十分ではないか。ただ最近思うのですが、公園や学校の校庭で子どもたちが元気よく遊んでいる姿は、ほとんど見かけなくなりました。子ども達は何処で遊んでいるのでしょうか?外では遊ばず家でゲームしたり、塾やお稽古事に通っているのでしょうか。

 

またCO₂排出量や廃棄物の量、特に電子廃棄物の中に含まれる水銀・カドミウム・鉛などの問題。これは、先進国は軒並み下位に名前を連ねています。「世界で最も裕福な国々での過剰消費は子ども達の環境を破壊しています。」とレポートでは警鐘をならしています。

 

このレポートを作成したユニセフ・イノチェンティ研究所所長のオルソン氏は、

経済的に豊かな国の多くは、自国の子どもの健全な環境を整備できていないだけでなく、世界の他の地域で子どもの環境を破壊することに関わっています。国内では比較的健全環境を整備できている国が、国外の子ども達の環境を破壊してしまう汚染物質の排出国になっている例も見られます。

と述べています。

 

子ども達を取りまく環境がそのまま大人の世界の縮図になっているのかもしれません。自国の環境に配慮出来ても、他国にまでその配慮が及ばないという事でしょうか。次世代を担う子どもたちに何を残さなければならないのか、大人たちに課せられた宿題です。

 

このレポートは、子どもを取り巻く環境の視点からの報告です。精神的な幸福度ではありません。【レポートカード17】では、精神的幸福度の公表はまだされていません。2020年公表された【レポートカード16】を見ると、精神的幸福度、身体的健康、スキルの3分野に分類、その結果が報告されています。日本の子どもの精神的幸福度(指標:生活満足度が高い15歳の割合、15~19歳の自殺率)は38ヵ国中37位でした。因みに身体的健康は1位。スキル(数学・読解力。社会的スキル。15歳の割合)は27位でした。精神的幸福度が37位とは、愕然とする数字です。特に長野県では十代の自殺率が常に上位で高止まりしている状態です。行政では様々な取り組みが行われているようですが、大きな成果がまだ見えていません。

 

コロナ禍になってからの調査報告はまだ公表されていませんが、改善の方向に向かっていないだろうと予想されます。行政サイドの施策はなかなか急激な改善には至らないのが常です。だからこそ、私達の出来ることは、こうした子どもたちの問題に目を背けない事です。急激に悪化すればすぐわかり、皆で知恵を絞って行動します。しかし、徐々に悪化していくと、なかなか気付きにくいという側面があります。そしてまさか自分が、とか、まさか身近で起こるはずがないという楽観があるのではないでしょうか?

 

先日幼稚園バスで3歳の子どもが置き去りにされ、死亡するという悲惨な事件がありました。ちょっと前に、同じような事件があったばかりなのに、なぜ悲劇がこんなにも早く繰り返されたのでしょうか。社会全体で、2度と起こるはずが無いという根拠のない楽観が根づいているのではないでしょうか?悲惨だと頭ではわかっていても、まさか身近で起こるはずが無く他人事として処理しているのではないでしょうか?いわゆる平和ボケかも知れません。自分だったらとか、自分の子どもだったらと置き換えて、最悪を想定し悲観論的立場で物を捉えることが、実は必要なのかも知れません。

 

 

子どもの幸福と命はとても大事な物です。昭和時代に居た、口うるさくてお節介おばちゃんたちが、化石にならず令和に復活することがあったとしたら、ちょっとした変化をもたらすかも知れません。意外と新鮮さを感じて、面白い世間になるかも。そして、子どもの幸福度が上位に食い込む日が来ることを切に願っています。

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