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こども食堂のおばちゃんのコラム

コロナとこどもの心 その7

~国立成育医療研究センター 第7回アンケートから~

写真:PIXTA

令和4年になり、オミクロン株による第6波が急激に広がり始めました。まだまだ出口が見えづらい日です。コロナ禍が始まってちょうど2年。ワクチンや治療薬はあるものの、感染への恐怖は収まりません。そして子ども達の心への影響は計りしれません。オミクロン株による感染は、あっという間に第5波の数字を超えてしまいました。これまでは高齢者が多く感染していましが、オミクロン株は10代、20代でほぼ半数を占め、感染者が大幅に増えています。学校等での集団感染が報告され、感染者数も高止まりしています。重症化の割合が低く、軽症で済むと言った情報が伝わっていますが、決して軽視できない状況です。

 

今回は国立成育医療研究センターで、令和3年12月に行われたアンケート結果が令和4年3月23日に公表されましたので、その報告をします。これは令和3年12月8日~31日まで実施されたアンケートです。保護者3,282人、子ども(小学校1年~高校3年)487人、合計3,769人の回答です。そのうち保護者・子ども両方は421組でした。回答者数、特に子どもは前回の半分以下(前回は1,271人)でした。

 

これまでの報告では、うつ症状が散見されるとありました。今回は典型的なうつ症状がみられる子どものエピソードを読んでもらい、その子の状態をどう思うか(助けが必要か)、もし、自分がその子と同じ状態だったらどうするか(相談するか)、という設定をし、こどものうつ症状に焦点を当てたアンケートになっています。そこを踏まえて、中高生中心にご報告します。

 

最初に、

1.「気分が落ちこむ、憂鬱になる、イライラする、または絶望的な気持ちになる」の質問をしました。中高生の半数以上が、「ある」と答えています。特に毎日そう思うと答えた中学生は6%、高校生12%でした。

 

2.「疲れた感じがする、また気力が無い」が中学生74%、高校生68%が答えています。その中で毎日と答えた中高生は15%にも上りました。

 

3.「自分はダメな人間または失敗者だと感じる。または自分自身あるいは家族をがっかりさせていると思う」は中高生のほぼ半数がそう思うと答えています。特に「毎日そう思う」が中学生13%、高校生17%と10人に1人以上の高い数字です。

 

そして、「コロナの事を考えると嫌な気持ちになる」「コロナの事は考えないようにしている」「すぐイライラする」で1つ以上を選択しストレス反応を示した子が全体の71%になりました。

 

次に典型的はうつ症状の質問をし、その反応を見ています。以下が設問と子ども達の反応です

太郎君はこの数週間、いつもと違ってなんだか悲しくなったり、辛い気持ちになったりすることが多くなりました。いつも体がだるく、疲れていて、夜しっかり眠ることが出来なくなっています。あまり食欲もなく、体も痩せてきています。勉強も手につかず、成績も落ちてきました。決めなくてはいけないことも、なかなか決められず、これまで出来ていた毎日も勉強や習い事もなどが、とても辛く感じるようになってきています。

この前提で「もし自分がこの状態だったら誰かに相談するか」と質問したところ、中高生の50%が「誰にも相談しないでもう少し自分で様子を見る」と答えています。また、「相談すると気持ちがすっきりする」56%、「ひとりで悩んでいても余計悪くなる」と52%が答えています。ただし「相談すると良い意見やアドヴァイスがもらえる」は小学4~6年生は63%だったの対し、中高生は33%に留まっています。「相談しても秘密にしてもらえない。相手に真剣に聞いてもらえない。相談相手に嫌なことを言われる」という中高生の本音が見えてきます。

 

同じ設問で保護者に「あなたのお子さんが同じ状況だったらどうしますか?」と聞いたところ、76%が受診させると答えました。ただし「どこの病院を受診したらよいか分からない。また受診が必要なのか分からないので、様子を見ても良いのではないか。子ども本人が受診したがらないだろう」のいずれか1つ以上当てはまる回答した保護者は63%になりました。受診させるとしながらも、どこか躊躇する気持ちもあると言えそうです。

 

報告書では「この設問の太朗君は典型的なうつ症状の子です。もし、身近に気になる子がいたら、まず大人が気づいて適切な対応を取らなければなりません」と指摘しています。家族はもちろんの事、学校、地域の大人たちがこどもの様子を見守る必要性があると痛感しました。

 

次に「子どもの事を決めるとき、大人は子どもの気持ちを考え、よく聞いていると思うか?」との問いに、中高生の42%がそう思わないと答えました。

 

以下こどもの率直な意見です。

1.家族に対して

・もっと熱心に話を聞いて欲しい

・途中で話を遮って否定しないで欲しい

・機嫌よくしてほしい

・人の物差しを勉強だけにしないで欲しい。勉強や運動を押し付けられるのはうんざり。

 

2.先生に対して

・話をたくさん聞いて欲しい

・もっと真剣に取り組んで欲しい  

・皆違う事を思っている事を分って欲しい。一人々の気持ちを尊重して欲しい。 

・子どもはこう思っているだろう、というような思い込みをなくして欲しい。 

・自分が子どもの頃どう思ったかを思いだして欲しい。

 

3.国に対して

・大人だけで解決されるのが不満。政治に参加できない私達のことを勝手に決めないでほしい。

・子どもの気持ちをもっと考えてほしい。失業した人や母子父子家庭への支援をもっと充実してほしい。お金を配っても改善されるわけではない。配られたお金を使えるような家庭状況ではない。

 

4.感染対策について

・子どもの青春とか受験とか大切なものを制限しすぎないで。青春を謳歌した大人に子どもを守るために制限して欲しい。

 

保護者の声

・コロナで人との付き合いが辛くなりました。人それぞれコロナに対する意識が違うし、ワクチンもコロナも怖いのでこれからが不安。

・うちの子どもは生まれる少し前からコロナが始まりました。マスク姿の大人しか見ていませんので、不安です。親以外の大人の素顔を見たことがありません。何の制限もなく子育て出来たお母さんたちが羨ましいです。テレビでは煽る専門家しかいなく、ただでさえ子育ては悩みが多いのに追い詰められるように感じました。もう少し穏やかに子育てしたいと感じています。

・マスクだらけの中に居ると、幼稚園の子がチック症状が出るようになりました。私(母親)がマス

クをすると更に酷く症状が出るので極力しないようにしているが、強要されることも多く社会の不寛容さや心無さに傷つきます。

・所得制限にひっかかる家庭ではないので、政府からみれば余裕があると見られているようですが、精神的に全く余裕がありません。働くのに精一杯で、子どもと向き合える時間などくたくたで取れません。子どもが発達障害でお金がかかるので必死です。発達障害に金銭的な補助が無いので、自力で働くしかありません。

・子育て世帯の要望を聞いてくれることもなく、説明会もなく、情報収集に困っています。

・子どもの一年は大人の一年よりずっと貴重でたくさん成長したり、沢山失敗したりしてほしいと願っています。にも関わらず、行事のほとんどが中止になり保育園の中に入ることも許されず(保護者が)、様々は機会が失われています。政治や大人が子どもの権利を蔑ろにしていないか、侵害していないか、憤りを感じる日々です。

最後に、アンケートの担当者は次のように結んでいます。

(自分が重いうつ症状が出たら)誰にも相談せず様子を見ると回答した子どもたちが一定数いることがわかり、子どもたち自らSOSを出すことの難しさが浮き彫りになりました。背景にはどのようにSOSを出したらよいか分からず躊躇してしまう。大人側に子どものSOSを受け止める姿勢に問題があることがわかりました。また保護者側も子どものうつ症状に気づいたとき「様子を見る」と回答した人が、一定数いることがわかりました。その背景には、「受診が必要か分からない」「どこを受診すれば良いか分からない」ことがわかりました。

 

設問の太朗君は典型的なうつ症状があり、本人や家族だけで様子を見ることは大変危険です。もしこのような子どもを見つけたら、子どもの心の診療医、スクールカウンセラー、精神福祉保健センターに相談してください。また周りの大人が(家族以外)子どもの様子の変化に気づくコツや気づいたときの対応について理解し習得しておくことも、子どものメンタルヘルス不調の早期発見・治療に重要な役割を果たします。

このコラムを読んでくださった皆さんの周りに、こうした症状が見られる子どもはいませんか?もし少しでも気になる子がいたら、スクールカウンセラー、かかりつけの小児科医や長野県精神保健福祉センター(長野市)、に相談してみてください。

 

4月に入り、長野県では感染者数が過去最高を記録する日々が続き予断を許さない状況です。オミクロン株の変異株に置き換わり始めているという報道もあり、第7波ではないかと言われています。生活は、以前に比べ徐々に平常に戻りつつあるような気がしますが、人々の心への負担が軽減されているようには見られません。むしろ疑心暗鬼になり他人の目がより一層厳しくなっていくような気がします。

 

3回目のワクチン接種の推奨、後遺症の情報とどれも大切はものではありますが、常にそれらが語られることで、むしろ不安を煽られることになってはいないでしょうか?

 

「Withコロナ」で、インフルエンザと同じ対応にすることはできないのでしょうか?子どものうつ症状は、大人が作り出している社会状況が一因しているように思えてなりません。今の私たちが子どもたちに出来ることは、過度な不安を押し付けず、平常心を保ちながら日々の生活を営んでいくことと考えます。1日も早くそうした日常に戻ることを切に望んでいます。

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