まいぷれ長野の少し役立つコラム
~12月県会 質問と答弁の報告~
写真:PIXTA
12月のコラムで、こども食堂運営者や民生主任児童員など15名が参加した意見交換会の報告をしました。意見交換会には埋橋県議も参加し、子ども支援に関わる私たちの考えを聴いていただきました。
貧困、DV、不登校、ヤングケアラーなどの問題が、個人情報が壁となって把握することが出来ず、歯がゆい思いをしている。こういった問題を抱える子どもたちのために何かできることがあるのではないか。他にも様々な意見が出され、皆さんの抱える思いを共有できた会となりました。
この会で話し合った項目をそのまま12月の県会で埋橋県議に質問として要望を出していただきました。今回はその報告です。
県の担当者は野中こども若者局長です。まず、現在県で推進している信州こどもカフェには、地域の民間団体やNPOが運営しているこども食堂が県内で154ヶ所開設・所属しています(2021年11月末現在)。
県では、長野県社会福祉協議会を通して運営費を助成。今後も地域の大人と子どもの温かな繋がりの中で、子どもたちの成長を支える重要な居場所として普及拡大に努めて行くとの意見表明がありました。
次に、厚生労働省が推進している「支援対象児童等見守り強化事業」についての質問です。これは、問題を抱えている子どもの見守り事業です。
県は昨年来会議などで各市町村に事業説明を行ない、積極的な活用を呼び掛けているが、市町村からは以下のような回答が多い。
対象児童が多く、民間団体による見守りや支援対象となる児童を絞り込むことが難しい
本当に支援が必要な家庭ほど面会や接触に専門性が求められるが、そういった専門性を有している団体が有るか不明
この「専門性」とは何を指すのか不明ですが、残念ながら県や市からこども食堂運営者に問い合わせや相談などが全くないので、我々としては動きようがありません。
今後県としては、この事業を行なっている自治体の成功事例を紹介し、児童相談所の技術的支援などを通しこの事業の積極的活用を促す、と答弁がありました。
もちろん多くのこども食堂は専門家で運営しているわけではありません。専門性が無くてはダメと言われれば成す術がありません。
ただ、地域に暮らす子どもたちを、こども食堂を通して何年にも渡って見守ってきている人たちです。何らかの役には立てるはずです。半歩でもいいので、是非この事業が絵に書いた餅にならないように県が主導して推進していただきたいものです。
第3番目に、国は子どもの貧困・虐待の対策の基盤となる情報のデータベースを構築する方針だが、県としてはどのように行なうのか。
貧困や虐待等困難を抱えた子どもや家庭は見えにくく、把握しづらいので必要な支援が届きにくいのが現状。
平成29年度に行った子どもと家庭の実態調査では、18.3%が生活保護制度について利用の仕方を知らなかったと回答。子どもや家庭の支援には「プッシュ型」「アウトリーチ型」の支援の必要性を認識している。
そのためには民間団体も含めて情報の共有が必要。ただし、情報共有に関しては個人情報との折り合いをどうとるか、課題も多いと認識。今後国の状況を注視しつつ市町村と関係団体の意見を伺って効果的な支援を検討していく。
このような答弁をいただきました。「プッシュ型」「アウトリーチ型」は、どちらも行政などから積極的に支援を行なうことが特徴の支援方法です。
これは前述の項目と重なりますが、県からこのような回答をいただけたので、我々子どもに関する民間団体として是非何らかの役割を担っていきたいものです。
次に、「食べることが困難な子どもがいる一方で、膨大な食料の廃棄が行なわれている。行政が、こどもカフェと食品スーパーとの橋渡し役を担って欲しいとこども食堂の皆さんから要望がある」という意見についてです。
他県では地元小売チェーン店がこども食堂に余剰食品の情報を提供し、必要な団体が取りに行くという取り組みが行なわれて、成果を上げている。長野県でも可能かどうか検討する。また地域に根差した運営を後押しする支援の在り方について幅広く検討する。
このような力強い回答をいただきました。こども食堂を運営する我々にとって、大変有難い回答でした。
こども食堂を実施するにあたり、食材調達が一番大きな課題でした。低予算だが赤字にならないように、でも子どもたちには美味しい食事をお腹いっぱい食べてもらいたいというジレンマが常に頭にありました。
もし地元のスーパーなどとの連携が実現すれば、こども食堂の安定的運営と子どもたちの育ちと笑顔を守って行けるはずです。
最後に、こどもカフェの周知についてです。
県で信州こどもカフェマップを6万部作成。小中学校、地域民生児童委員等に配布。今後も関係する会議やイベント等様々な機会に周知していく予定。
このような回答がありました。
実はこの信州こどもカフェマップは、4年近く前、中高生・若者ほっとキッチン・無料学習塾が中心となり北信こども食堂ネットワークとして、県に作成の要望を出しました。
実現するまでに1年半ほどかかりましたが、初版を見た時は感無量でした。時間はかかりますが、要望を出すことで少しでもこども食堂の存在が子どものいる家庭に周知でき、子どもたちの「行き場所」の一つとして挙げてもらえれば本望です。
今後も折を見て、こども食堂の抱える問題を県への要望にまとめ、行動を起こしていこうと思っています。これを読んでくださった皆さん、是非応援して下さい。
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長野市で中高生・若者(10代)を対象としたこども食堂を運営しています。
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