まいぷれ長野の少し役立つコラム
今年も残すところ3週間ほどとなり、長野駅前にも恒例のクリスマスツリー飾られました。
街にはクリスマスの音楽が流れ、気持ちもウキウキしてきます。
クリスマスとは言わずと知れたイエス・キリストの誕生を祝う日ですが、イエス・キリストが生まれた時、東方の賢者たちがお祝いに「黄金」「乳香」「没薬」をささげたというのは有名な話です。
黄金は財宝、乳香と没薬は精油。どれも捧げものにふさわしく貴重なものです。
乳香と没薬については「Living with アロマ」の第三回でミイラについてお話した時に登場しました。
抗菌作用・防腐作用が非常に強く、ミイラを作る際に使用され、その後数千年という長い期間、古代エジプトの王たちを守ってきた精油です。
そんな聖なる精油の、キリストにまつわる香りとして「乳香」「没薬」のほかにもう一つ有名なのが「ナルドの香油」といわれるものです。
「ヨハネによる福音書」に、『そのとき、マリアが純粋で非常に高価なナルドの香油を一リトラ持って来て、イエスの足に塗り、自分の髪でその足をぬぐった。家は香油の香りでいっぱいになった』と記されています。
ナルドはナルドスタキスという植物の根及び根茎で、スパイクナード(甘松)と呼ばれているものです。
古くからインドなどで香料として知られており、かのツタンカーメンの副葬品にもナルドが含まれていました。
この聖書のくだりには「香油」と出ているので、植物油にナルドを漬け込んで香り成分を油に移したものでしょう。
ナルドそのものではない「香油」(浸出油)であるのに部屋いっぱいに香りが広がったということは、大変強い香りだったと推測されます。
私の手元にあるナルド(スパイクナード)の精油は、とても素直でほのかな木の香りです。自然のものなので香りがくるくると変化していきます。シンとした樹木の香りあり、ほのかな木の粉の香りあり、甘く漂う香りあり。
植物の「根」ですので、土の中のミネラルの香りもあるのかもしれません。
全体の印象としては森の奥深くの「静かなる空間」といったところでしょうか。
古代エジプトからキリストの時代を経て現代へと、連綿と続く香りの歴史。
昔は自然に豊富にあった植物も乱獲により衰退の一途をたどり、現在では栽培することで維持しています。
精油においては、研究の結果や技術の進歩により、人工的に香りを作り出すことも可能となりましたが、やはり天然・自然の揺らぎや不安定さを感じることで、人の感覚も磨かれていくのだと思います。
忙しさにかまけて「香りを感じる」感覚を使わずにいると、感じることができなくなってしまいます。
そうならないよう、「香る」ということを意識して行ってみてください。
食事のときのお味噌汁の匂いやリラックスタイムの珈琲の香りなど、日常の何気ないことを少し意識するだけでOKです。
香りを感じるということは脳の活性化にも繋がりますので、気軽にできるアンチエイジングですね(*^_^*)
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