外国籍児童・生徒のための無料学習塾　その３

　～野外学習に出かけました～

※その1・その2では、外国籍児童の就学についてお話ししました。

11月のある晴れた土曜日、学習支援担当の信大生2人の引率で、ベトナム人小学生・中学生の姉弟とその両親がぐるりん号に乗って、ひまわり公園～信大教育学部キャンパスへ野外学習に出かけました。日本でバスに乗るのは初めてで、乗降の仕方、料金の払い方を説明、無事バスの乗車体験ができました。

ベトナムでは運転手と車掌がいて、料金は車掌さんに払う方式だそうです。50年以上前、昭和の時代、日本も同じように運転手と車掌がいて、運転手は運転だけに専念、車掌は乗客にバスの切符を売りながら、皆の様子に気を配っていました。ベトナムの話を聞いて昔ののんびりした日本を懐かしく思い出しました。

最初の目的地はひまわり公園。紅葉した葉っぱを見るのは初めてのようで、とても興味深そうでした。「紅葉がとても綺麗で集めたら花のよう」と女の子らしい感想を話してくれました。また「ドングリの実は帽子をかぶっているんだよ」と説明すると、小学生の弟は目を輝かせて見入っていました。ベトナムでは松の木は山でしか見ることができないが、日本では普通に公園で見ることができて驚いたと両親が語ってくれました。

杉の木の観察では、木の表面にキラキラしているのは樹液だと説明すると、樹液に興味を持ったようで（写真①）、つついて触っていました。また、杉は真直ぐ伸びて葉を落とさないこと、花粉症の原因になる木だと説明すると「何故杉の木が花粉症の原因になるのか知りたい」と素朴は疑問を投げかけていました。

次に向かったのは、信大教育学部の前庭です。ひまわり公園から徒歩数分程度。大きな銀杏の木がありますが、ちょっと時期が遅かったせいか少し茶色かかって落葉し始めていました。それでも子ども達とても興味深そうに見ていました。日本には多くの種類の木があり一つ一つ説明するたびに、興味がどんどん湧いてくるようでした。「これはハナミズキだよ」と説明すると、鼻水の木と勘違いして「どうして木から鼻水が出るの？」と子どもらしい質問が出て、思わず苦笑いと言う一幕もありました。

子どもたちが一番印象深かったのは、ベトナムでは紅葉や落葉が無いらしく、様々な種類の木の紅葉を見られたこと、日本の植物を実際見て、触って、教えてもらったこと、多くの葉っぱが落ちていたことを実際に見ることができたことでした。2時間たっぷり、日本の樹木と花をめぐる野外学習は、彼らには日本を知るとても貴重な体験だったようです。

紅葉は、日本各地で誰でも堪能し愛でることができますが、ベトナムでは身近に見ることができない日本の秋の風物詩なんだ改めて気づかされました。意外とこうした子どもたちの素朴な疑問と感動が、私たちに日本の良さを教えてくれるのかもしれません。

また、川の越水により地形に変化が起こること、現場や資料を見ながら扇状地の説明、地震によって変化した地形等の説明を聞き、今住んでいる長野市について、より一層興味がでてきたと感想を述べてくれました。あっという間の2時間だったようです。

この体験を通して、長野をもっともっと好きになってくれたら、野外学習に出かけた甲斐があったと言うものです。当たり前ですが、子どもはどこの国も同じで、知らないことを教わると興味が沸いて、目がランランと輝き、より深く学ぼうと言う姿勢が見て取れました。子どもの可能性は無限だと、改めて感じることのできた野外学習でした。

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