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こども食堂のおばちゃんのコラム

「恩送り」知っていますか?

写真:PIXTA

「恩送り」と言う言葉知っていますか?

 

今回はこの言葉について考えてみたいと思います。

 

「恩返し」は日常よく使う言葉ですね。民話の「鶴の恩返し」は有名ですが、「恩送り」はあまり聞かない言葉です。恩返しは、他人から受けた恩を感謝と共にその人に恩として返す。そんな循環でこの世の中が丸く収まります。

 

では「恩送り」とは、どんな事でしょうか。読んで字の如し「恩」を送ることです。決して宅急便でどこかに送ることではありません。受けた恩はその人に返すのではなく、次の人に恩を繋いでいくことです。恩を受けても直ぐ返せればいいのですが、なかなかそういう訳には行きません。恩を受けた人が、少し余裕できた時、別の誰か困っている人に受けた恩を返すことです。恩の順送りです。

 

「恩送り」は江戸時代から使用されていたそうです。ただし「恩返し」と同じ意味で使われていたとか。昭和になって、劇作家の井上ひさしが「「恩送り」は、誰かから受けた恩を、自分は別の人に送る。そしてその送られた人がさらに別の人に渡す。そうして「恩」が世の中をぐるぐる回ってゆくことを指している。」と述べています(「井上ひさし 恩送り」で検索)。

 

先日、ある新聞の投稿欄で「若い時、夜遅く町で具合が悪くなり疼くまっていたら、通がかりの見ず知らずの女性が声を掛けてくれて、親に電話をしてくれました。随分昔のことで、今のように携帯電話が普及していなかった時代なので、公衆電話を探して架けてくれました。親がすぐ迎えに来て事なきを得たのですが、親切にして下さった方に、お礼も言わず名前も聞かず仕舞いでした。後になってとても悔やまれましたが、お礼の仕様がなく、それ以後困っている人を見かけると見過ごすことが出来なくなりました。友人にはお節介ね!と言われますが、これはあの時の恩返しだと思っています」と言うものでした。これこそ「恩送り」ですね。ちなみに日本には「恩を仇で返す」という物騒な言葉がありますが、これはちょっといただけませんね。

 

さらにこれは日本だけの文化ではないようです。欧米にも、Pay it forward(ペイ・イット・フォワード)と言う言葉があり、これは「善意を他人へ回す」という意味です。ペイ・イット・フォワード財団が設立され、学校で子どもたちにこの考えを広める活動をしているそうです。

 

ほっとキッチンでの話をここで少し。

今、コロナで生活が苦しくなった家庭やひとり親家庭を中心に食材支援を行っています。あるお母さんが「いつもいただいてばかりで、何もお返しする物がなく心苦しく思っています。もし他に困っている人がいたら、その方にまわしてください」と言う申し出がありました。「今頑張って子育てしているから、遠慮しないで!子育てが一段落して少し余裕が出たら、その時困っているお母さんの力になってあげて」と伝えたところ「分かりました。子どもが成長したら、その時困っている方の手助けをします。約束します」とほっとした表情で語ってくれました。これこそ「恩送り」ではないでしょうか?

 

それからもう一つ。最近「恩繋がり」を実感しています。子ども達のためにと、野菜や卵を届けてくださる方、食材を寄附してくださる会社・個人等、大勢いらっしゃいます。「子ども達が喜んでくれるなら、それが一番嬉しい」とおっしゃってくださいます。その言葉をスタッフが短い絵手紙を書き配布袋に入れたところ、とても嬉しかった、励みになった、とお母さんたちからお礼の言葉が寄せられました。

 

それを今度は寄附してくださる方々にお礼の言葉を繋ぐと、皆さんも「お役に立てて嬉しい」と一様に言葉を返してくださいました。恩をくださる方、それを受けて心の籠ったお礼を伝え、恩返しを感じることが出来た、そうして人は繋がっていく。恩を受けた方は、いつか誰かに恩を送ろうと思う。その順繰りが私たちの生活を豊かにしていくことに他ならないと思います。小さな心がけですが、やがて大きな花となり実となって大空一面を覆い尽くしてくれるはずです。

今後も「恩送り」を忘れずに、活動していきたいと思っています。

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