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こども食堂のおばちゃんのコラム

令和4年度 こども食堂と国の施策について

~各関係省庁担当者の話のセミナーから~

写真:PIXTA

4月28日、全国こども食堂支援センターむすびえで「孤立・孤独対策に取り組むNPO等への支援」オンラインセミナーが開催されました。内閣府、総務省、厚生労働省、農林水産省、こども家庭庁設置法案等準備室の各担当者が登壇、令和4年度こども食堂の施策について説明がありました。

 

今回は、その概要をお伝えします。

 

内閣府

まず、内閣府より「地域子供の未来応援交付金」について説明がありました。内閣府では従来の施策に加えて「(1)つながりの場づくり緊急支援事業」及び「(2)新たな連携によるつながりの場づくりの緊急支援事業」が予算化されました。こども食堂・学習支援といった、子どもの居場所作りが大変重要と位置づけ、補助するという内容です。

 

(1)については内閣府から地方自治体へ話を下ろし、補助と言う形でこれまで運営してきたこども食堂へ補助金を出します。国は運営団体に3/4、残り1/4は自治体が負担します。上限は250万。

 

(2)の新たに始める子どもの居場所作りは10/10の補助があります。上限250万、学習支援をしてきた団体が新たにこども食堂を始める場合も適用されます。

 

ただし(1)、(2)とも自治体による委託事業なので、誰でも申請できるものではありません。自治体が団体の活動を認めて委託するわけですからハードルはかなり高くなります。

 

一つ付け加えると、ここで言う団体とは、NPO、ボランティア団体、自治会、町内会も含まれます。補助金の使い道は、学習支援またはこども食堂に関わる人件費や運搬費、その他運営に必要な経費、生理用品の購入も認められ、かなり広範囲で緩やかな内容となっています。

 

そしてこども食堂に参加する子どもたちの中で気になる子がいたら自治体に繋げて行くことも盛り込まれました。地方自治体からの申請は随時受け付けていて、昨年の2倍の申し込みがあるという事でした。残念なことに、当ほっとキッチンにはこのような情報は届いておらず、このセミナーで初めて知りました。今後地方自治体の動きを注視していかなければなりません。

 

農林水産省

次に農水省からの報告です。今年度フードバンク支援緊急対策事業として、こども食堂等へ食材支援を行う際の費用について、補助額上限500万円が盛り込まれました。

 

対象となるフードバンクは農水省の設定する基準を満たしていること、こども食堂等への食品の提供について食品受入れと提供体制の整備計画を有することとあります。農水省のHPに長野県ではフードバンク二団体が掲載されています。より多くの食材提供されることを期待しています。

 

厚生労働省

次に、厚労省の「見守り強化事業」についてです。内閣府が「つながる事業」だとすると、厚労省は「見守り事業」です。これは困難を抱える子を早期に見つけ要対協(要保護児童対策地域協議会)に連絡することで虐待等を未然に防ぐというものです。支援対象児童見守り強化事業が令和4年度から予算化されました。これまでは補正予算で実施されてきましたが、本年度から本腰を入れるという事です。

 

(1)アウトリーチ型(居場所)、(2)クーポン・バウチャー等活用型の2本柱が提示されました。(1)はこれまで実施されてきましたが、(2)は今年度新な取り組みです。クーポン・バウチャーは支援ニーズの高い子育て世帯に1人年5万円をクーポン・バウチャーとして配布。学習塾、スポーツ(習い事)、一時預かり等に使えます。実施主体は市町村で、どういう家庭を対象とするかは今後市町村からの広報が待たれるところです。

 

総務省

総務省の報告は、こども食堂等目的が明確なプロジェクトベースで連携促進すれば地域活動の活性化に繋がり、令和4年度より地方交付税の範囲で市町村の業務として対応して欲しいことを働きかけていくという力強い報告がありました。現在自治会や町内会でこども食堂を運営している所も出始めているそうです。

 

こども家庭庁設置法案準備室

最後に、こども家庭庁設置法案準備室の担当者から今後の予定と設置の主旨説明がありました。令和5年4月1日設置法案が施行され、こども家庭庁が発足します。

 

この法案の主旨は「こども(心身の発達の過程にあるものをいう)が自立した人として健やかに成長することのできる社会の実現に向け、子育てにおける家庭の役割の重要性を踏まえつつ、こどもの年齢及び発達の程度に応じ、その意見を尊重しその最善の利益を優先してその考慮することを基本とし、福祉の増進及び保健の向上その他こどもの健やかな成長及び支援ならびにこどもの権利の擁護に関する事務を行うとともに、内閣の重要政策に関する事務を助けることを任務とするこども家庭庁を内閣府の外局として設置する。」(セミナー資料より一部抜粋)

 

まず、ここでお伝えしたい事は「こども」の定義です。子どもとは18歳までと捉えられがちですが、こども家庭庁では必ずしも18歳までとは規定しないそうです。年齢では区切らないというのが基本方針です。子どもによって成育環境が異なるため、社会人として生活できるようになるのは、それぞれです。単に年齢で区切ることは適切ではない。大人として自立して社会生活が送れるまで寄り添い支援するというスタンスで、支援の必要があれば「こども」と定義します。そして「誰一人取りこぼさない社会」の実現を目指すことが、こども家庭庁の役割であると説明されました。

 

現場で子どもや若者たちと直に接していると、それぞれ様々な問題を抱え、一つには括れないことを痛感しています。18歳になったら「はい、大人」ではなく、彼らが自信と少々の不安をもって社会に羽ばたくことが、日本の将来を担う彼らとっていかに重要か、私たち大人の課題であると思っています。

 

そしてもう一つ。今回のセミナーを通して感じたことがあります。私たちは7年前にこども食堂を、5年前に中高生・若者版こども食堂を立ち上げました。

 

貧困を柱に据えた訳ではなく、親が仕事で忙しく子ども達だけでご飯を食べるなら、皆で楽しく食卓を囲み、ワイワイガヤガヤ一緒にご飯を食べると美味しいよね!を掲げました。

 

蓋を開けてみると、ほとんどが母子の参加で、母親同士おしゃべりしてくつろぎ、子どもは皆で一緒に遊んで食事ができるまでを過ごす。調理室ではボランティアさんたちが一生懸命食事を作るという役割になりました。どこも同じような雰囲気で、ある食堂の方が「親は安く食べられるファミレスと勘違いしているのでは?これでいいのか疑問だ。問題を抱える子が参加しているか分からない」と話し、悩んでいるようでした。

 

今回のセミナーでは「こども食堂」は全ての子どもの居場所であり、特に困難を抱えている子と限定はしない、むしろこども食堂を運営している中で、気になる子がいたら要対協に連絡する。こども食堂が問題を抱える子どもを対象とするのは荷が重すぎる、という見解が示されました。

 

最近のこども食堂を見ていると「皆(親も含む)が集まって楽しく過ごす」が主流になっているように感じています。だから誰でも気軽に開設することが出来、あっという間に広がったのだと思います。もちろん楽しく過ごすことがとても大事です。ただ実際運営していく中で、果たして楽しいだけでいいのか?といった疑問も出てきました。

 

「行きたいけど、着ていく服がない」と、子どもの声があったと聞いたことがあります。来たくても来られない子もいるという事実を忘れてはならないと思っています。

 

子どもは日々成長し幼子は小学生、中学生、高校生になり、時代と共に社会と人々の意識が変化し、こども食堂の在り方も問われてくるような気がします。その奥に潜んでいる不変的なものは何か、“皆で集まって楽しかったね”で終わっていいのか、包括的な社会とは何かを常に念頭に置いていかなければならないと考えています。子どもの居場所を持続するためにも。

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長野市で中高生・若者(10代)を対象としたこども食堂を運営しています。

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