金子みすゞの世界３　～こども食堂のお節介おばちゃんから若者へのメッセージを込めて～

昨年このコラム欄で金子みすずの詩を2回（1回目、2回目）に渡ってご紹介しました。3回目の今回は「星とたんぽぽ」を紹介します。金子みすゞを好きな方には大変有名な詩で、あちこちで紹介されているのでご存知かもしれません。またあまり読んだことの無い方は、この機会に是非彼女の世界に触れてみてください。きっと、心に沁みてくるものがあるはずですから。

金子みすゞは波乱に満ちた26年の生涯でした。この詩も20代前半の作品だと思います。「見えぬけれどもあるんだよ　見えぬものでもあるんだよ」と2度に渡って繰り返しています。みすゞの視点は、常に小さきもの、目立とうとせず、しかしその有様は確固として存在しているものに注がれていると思います。目立たないからこそ、心の眼を大きく開いて感じ取らなければ見えてこないものが確かに存在するのです。

昨年12月にこのコラム欄で、ニューヨーク・タイムズの記者に8歳の女の子がサンタクロースについて質問した記事を取り上げました。

また、フランスの作家サン・テグジュペリは「星の王子さま」の中で「一番大切なことは眼には見えないんだよ。心で見ないと良く見えないものなんだよ」と王子さまに語らせています。

現代は情報通信が発達しすぎて、目に見えるもの・聞こえるものだけを信じ、それが全てだと錯覚してしまいます。ネット社会が蔓延り、それに一喜一憂してしまいます。ネット上で人を非難し

自分の優位性を誇り、自己満足に浸ってしまう。

ちょっと気に食わないことがあると、ネットで叩き、溜飲を下げた気分になる。それを読んで傷つく人がいることに想像が及ばない。多様な意見があり、それを述べることは自由な社会では、ある意味とても残酷さを伴う事でもあります。

目に見える・聞こえるもののもっと奥深くに、心で見るもの・心で感じるものが必ずあります。それが置き去りにされて、目に見える・聞こえるものだけに翻弄されて悩んだり傷ついたりしてしまいます。事実は一つでも、真実は一人一人にあると、あるテレビドラマの主人公が語っていました。だからこそ、歪んだ目でみる真実ではなく、素直に感じた心の眼で自分の真実に廻りあえればと思います。そしてその真実が全ての人と共通する真実であって欲しいと願っています。

若い時は、得てして目に見えるものだけを信じてしまいます。疑ってみることも、ある意味必要な事です。信じる事と疑う事、双方を織り交ぜながら物事を見つめ続けると、案外面白い景色が見えてくるかも。騙されたと思って一度試してみてください。若者は、何があっても必ず立ちあがることが出来るのですから。それが若いという事でもあるのです。

金子みすゞ（→Wikipedia）

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