まいぷれ長野の少し役立つコラム
収穫の秋。
美味しいものが出回る季節です。
その代表格、秋の味覚きのこ。
長野のスーパーマーケットでは日常的に、椎茸、ブナシメジ、舞茸、ひらたけ、えのき茸、等々たくさんのキノコが溢れていますが、この時期にしかお目にかかれないのが、長野県が生産量全国一を誇る松茸。
赤松の林に眠るマツタケは人工栽培ができないために季節限定となるわけです。
戦前は赤松の林もたくさんあって、すき焼きの鍋を満たすために大量に使われた安価なキノコだったそうです。
今ではすっかり高級なキノコになってしまった松茸。
あの香りのファンも多いことでしょう。
松茸の香りの成分は1930年代に研究者によって分析されました。
有名なマツタケオール(=1‐オクテン‐3‐オール)と桂皮酸メチルという二つの成分がほぼ松茸の香りを作っています。
この通称マツタケオールは他のキノコにも含まれていますので、独特なあの香りを醸し出す重要な役割はどうやら「桂皮酸メチル」の方にあるようです。
この桂皮酸メチルはエステルと言われる化合物で、食品の風味づけや香りづけに多く用いられています。
お料理のダシ代わりにも使われる主婦の必須アイテム、本物より松茸らしいと言われる?某社の松茸の味お吸い物。
これもこの「桂皮酸メチル」が基本になっています。
このお吸い物、本物ではないのになぜこれほど人気なのでしょうか?
それは味の感じ方に秘密があります。
風邪を引いたときや花粉症で鼻が不調のとき、食事の味はいつもと違って感じますよね。
ほかにも、嫌いなものをどうしても食べなければいけない時、鼻をつまんで食べると何とかなったりしますね。
そう、味は鼻から入る匂いが大半を決定づけるのです。
味の決定は、鼻が8割、舌が2割と言われています。
このコラムの第一回で、匂いは鼻から直接に脳に働きかけるというお話をしました。
味覚情報の第一番も舌からの情報より先に匂いが脳に伝わって過去の記憶と結びつき、後から来る舌からの情報と合わせて最終決定となるのです。
秋の代表的な味覚「松茸」。
高級品である国産モノはなかなか手に入りませんが、輸入品なら何とか、という我が家では、この「桂皮酸メチル」を隠し味にして季節限定の味を楽しんでいます。
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