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なぜデンマークのこどもの幸福度が高いのか

 ~ユニセフ報告書から日本と比較してみました~ 

画像:PIXTA(ピクスタ)

2025年5月、ユニセフから世界の子どもの幸福度について発表されました。今回は精神的幸福度についてデンマークと比較して考えてみたいと思います。

 

子どもの幸福度は、

①精神的幸福度

②身体的健康

③スキル(読解力・数学分野の学力、社会的スキル)

の3つの分野を総合した結果です。日本は36か国中、①精神的幸福度32位、②身体的健康1位、③スキル12位で総合で14位でした。日本の精神的幸福度は36か国中32位で下から5番目。身体の健康は1位なのに、なぜ心の健康が下位なのか。その点を探ってみたいと思います。

 

ユニセフ・イノチェンティ研究所の報告書によると、日本は2018年から2022年にかけて子ども・若者(15歳~19歳)の自殺率が上昇しており、国内の心の病気の上昇と一致しています。心の病の発症率は10万人当たり5,063人から6,333人に増加、有病者率は10万人当たり13,637人から15,241人に増加し、これが自殺率の増加の一因となっている可能性があると報告されています。

 

最も深刻なのは、子どもの自殺率の高さです。2020年に発表されたレポートから今回までの増加率が最も大きく、今回の報告書では上から4番目です。2024年度の子どもの自殺者数は増加しており、過去最多となっています。子どもの数が減少しているにもかかわらず、自殺者数が増加していることで自殺率の高さが伺えます。15歳~19歳で自殺率は2018年10万人当たり7.4人でしたが、2022年には10.4人に増加。ちょうどコロナが蔓延して社会が不安定になっていた時期に当たりますが、コロナが収束した2024年でも増加傾向にあるということは、もっと別のところに原因があると考えざるを得ません。

 

これらの報告を受けて、子ども・若者貧困研究センター長で子どもの貧困問題研究の第一人者である阿部彩氏は次のようなコメントを発表されました。

精神的幸福度は生活満足度と自殺率の指標から測定されたものです。日本のこどもの生活満足度との関連が強い要素は、ソーシャルメディア利用の高い頻度、いじめ、親との会話の少なさです。

意外だったのは、いじめに関して対象国の中で3番目に少ないと報告されたことです。いじめは、今でも報道されることが多々ありますが、精神的幸福度の負の部分をあまり多く占めておらず、むしろ改善されてきていると解釈できるのでしょうか。その反面、親との会話の頻度は最も低いと報告されています。これまで日本では、親との会話の頻度についてあまり問題視にされてこなかったように思います。

 

そこで、視点を変えて、親との会話の少なさに焦点を当てて考察してみたいと思います。その一例として、デンマークの大人の働き方と家庭生活のバランスについて調べてみました。最近日本でも働き方改革やワークライフバランスについて話題に上ることが頻繁になってきました。現代の若者は、仕事に就くに当たって最も重要な要素はワークライフバランスと答えています(マイナビアンケートより)。

 

デンマークは、常に「世界一幸せな国ランキング」の上位にランクされています。そればかりではなくIMD(国際経営開発研究所)の調査で、国際競争力では2022年・2023年と2年連続世界一に選ばれました。因みに日本は2022年34位、2023年35位でした。

 

世界一になるには様々な要因が考えられますが、私が重要視したいのはワークライフバランスです。デンマークは「ワークバランス先進国」として知られています。仕事のある日は通常午後4時退社、真っすぐ家に帰ります。日本では考えられない退社時間です。家庭が最優先で、特に子どもがいる家庭では子ども達と公園に行って一緒に遊んだりと、とても子どもと家庭を大切にしています。そして夕食は家族揃って食卓を囲み、その日の出来事を話題にします。そうすることによって、子どもが今何に興味を持っているのか、どんな友達がいてどんな付き合い方をしているのか、学校生活はどうか等、大人も子どもも互いに理解し尊重することが出来るのです。

 

「第一優先は家族、第二優先は仕事、三番目に娯楽や自分がしたい事」が一般的なデンマーク人の考え方です。また日本人駐在員が「家族と一緒に夕食を食べることは些細な事と思われるかもしれませんが、でもそれで本当に人生観が変わりました」(針貝有佳著「デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果をだせるのか」より)。

 

先ほど、日本の子どもの精神的幸福度の低さは親との会話の少なさが影響していると記しましたが、まさに親と毎晩夕食を共にすることで会話が増え、ソーシャルメディア利用の高い頻度が解消されるのではないでしょうか?

 

ただ、午後4時に帰宅し家族と夕食を共にすれば万事OK というものではありません。大人の職場環境や物の考え方も重要です。デンマークでは教育環境も大きな役割を担っているようです。幼少時から先生の指示を待つのではなく、自分で考える力を養う教育が行われ、自分の知識と体験を蓄積し問題解決に対処できる力が自然と身につくという教育方法です。大事なのは知識ではなく、身に付けた知識をどう応用していくか、です。

 

職場では上司も部下もフラットな関係で、部下は上司の指示を待つのではなく、自分で考えて行動する、もし部下が上司の指示に従わないことがあっても “それも良し” とする職場環境があるようです。そうした環境は、職場での人間関係のストレスが少なくなるのではないでしょうか。ワークライフバランスの先進国と言われる要素の一つと言えそうです。

 

先日、参議院議員選挙が行われました。ほとんどが経済対策や消費税等の政策を声高に訴える内容で、子ども政策はあまり重要視されていないような印象でした。こども家庭庁が発足、こどもまんなか政策が謳われていますが、今後政策の大きな柱となる事を願ってやみません。次世代を担う子どもたちの精神的幸福度がどうすれば上位になるかという政策を、本気で考えて欲しいと願っています。小手先の政策に振り回されるのではなく、社会全体で根本的な要因を探り解決方法を見つけることが本当の意味での「こどもまんなか」政策ではないでしょうか? 日本でも実のあるワークライフバランスを本気で導入してもらいたいと思います。

 

最後に、デンマークはとても税金が高い国です。でも国民は批判しません。何故なら税金の使い道がはっきり分かっていて、政府を信頼しているからです。そして税金を払うことが社会貢献と考えているからです。人生において、どれだけ成功したかではなく、どれだけ人に貢献できたかが大事というのが、デンマーク人の基本的な考え方だそうです。このような考え方が子どもにも少なからず影響を与え、子どもの精神的幸福度が高い理由の一端を担っているように思います。目先の利益ではなく、未来を見据えて子どもにとって何が最も重要なのか、今考えるべき時が来ているのではないでしょうか。

 

参考文献:①ユニセフイノチェンティ研究所レポートカード19ハイライト~日本のこどものウェルビーイング、

②阿部彩:ユニセフイノチェンティ研究所レポートカード19「予測できない世界における子どものウェルビーイング」日本の結果へのコメント、、③針貝有佳著「デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果をだせるのか」

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