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こども食堂のおばちゃんのコラム

子どもの居場所作り、これからどうする? ~研修会に参加して感じた事~

画像:PIXTA(ピクスタ)

2月19日、信州こどもカフェ運営者向けの研修会に参加しました。講師は全国で初めて「こども食堂」を開設した近藤博子さんです。本職は歯科衛生士。こども食堂開設からこれまでの歩みとこれからについてのお話を報告します。

 

2008年、近藤さんはあるきっかけで八百屋として野菜の配送を始めたそうです。その時ご自身のお子さんの学習のつまずきもあり、2009年ワンコインの寺子屋を開設。2011年、近くの小学校の副校長先生から1年生の子が、食事がきちんと取れていないという話を聞き、2012年にこども食堂をスタート、当初第1・3水曜の17時半~、子ども300円、大人500円の食事代を頂いていたそうで、これがこども食堂の原型となりました。その後マスコミ等で取り上げられ、アレヨアレヨと言う間に全国に広まっていきました。もちろんご本人もこんなに全国に広まるなんて全く想像していなかったそうです。今年でちょうど12年になります。

 

2015年、豊島区で第1回こども食堂サミットが開催されました。主催は「豊島子どもWAKUWAKUネットワーク」。この頃には全国的に広がりを見せ、各地のテレビや新聞でも盛んに取り上げられるようになっていました。その後「広がれ!こども食堂の輪 全国ツアー」が企画・実施されました。近藤さんがこども食堂を始めてから3年目の出来事です。

 

2013年に「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が成立し、2014年施行されました。これがちょうど同じ時期になります。そのため、「こども食堂=子どもの貧困対策」と位置付けられることがしばしばありました。報道もそのような表現をしていたと記憶しています。ですから貧困対策でこども食堂を立ち上げた訳ではない、と周囲に説明することがしばしばありました。ただしその辺が実に微妙で、主催者側は困っている子を想定して(必ずしも貧困に限定しない。例えば親が仕事で食事の支度が出来ず、コンビニ弁当を一人で食べている子等)こども食堂を開いていることもあります。

 

しかし貧困が対象では無いとなると、普通の家庭の子ども達が母子で参加するケースが増えてきました。そうすると本当に困っている子が見えにくくなってきます。現に参加しているお母さんに聞くと、「安く温かい家庭料理が食べられて嬉しい。私も休める」と言う声が聞こえて来ました。仲間のこども食堂主催者から「安いファミリーレストランと思って、一家で参加する家庭もある。ちょっと違うんじゃないかというジレンマがある」という心情を話してくださったこともありました。

 

話を元に戻しますが、近藤さんのお話でとても印象に残り、共感できたことが4点ほどあります。まず、子どもとの日頃からの関係作りがとても大切だという事。子どもとの関係が上手く築けていれば、子どもの方から心を開き、さまざまな悩み事を話てくれる。そして大人たちは寄り添っていくことが出来る。当初こども食堂の傾向として50人集まった、80人集まったと参加人数を競っている風潮がありましたが、人数が多ければその分こどもとの関係性が薄れてきます。ともすると顔と名前が一致しない、食事してお腹いっぱいになって美味しかった……と三々五々帰っていく、という風景がありました。特に月1回開催では尚更です。本気で子どもに寄り添っていると言えるのか、大きな疑問が残ります。地域で開かれるイベントやお祭りとどう違うのか?と言う疑問を投げかけてくる人もいました。

 

2番目は、コロナ後、役割が増えてきているということ。一緒に食事するだけでなく、様々な問題を孕んでいることが見えてきました。しかし自分たちは出来ることをやって行けば良いのであって、背伸びする必要はない、専門分野はその専門の方たちに任せればよいのです。今後も今の活動を地に足を付けて地道に行っていくことが大切です。

 

3番目は地域の人たちの子どもを見る目が変化してきている。これまであまり関心が無かった人々が、子ども達に目を向けてくれるようになったと感じている。とても有難い変化です。

 

最後に財源の問題ですが、自主財源は持っていないので運営は厳しい状況にある。寄附等で何とか運営している。助成金はなるべく貰わない方向で運営をしている、と言う話でした。財源問題はいつも話題になります。

運営費用に関して、当ほっとキッチンはこれまで助成金を頂いたことはありますが、申請書と報告書作成でかなりの時間を費やしてしまいます。スタッフ全員がボランティアで活動しているので、書類作成もなかなか大変です。そこで、必要最低限の助成を頂く、また個人・企業からの寄附で運営している状況です。運営費用捻出は、いつまでたっても解決しない問題です。

 

目の前で困っている子ども達がいて、何ができるか、出来る範囲で行動し、地道に向き合っていくことが私たちに出来ることと心得ています。子どもを取り巻く環境が随分と変わってきているし、これからも変わっていくでしょう。その変化が子どもにとって暮らしやすく、笑顔が思わず出てしまう環境になっていくよう、我々大人に課せられた大きな宿題であるはずです。

 

子どもは正直です。辛い事があれば表情が暗くなるし、楽しい事があれば満面の笑みを浮かべます。2023年こども家庭庁が発足しました。今後更に社会全体で本気で子どもの問題に取り組んで行かなければならないと肝に銘じています。子どもは未来の日本を背負っていく宝なのですから。

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長野市で中高生・若者(10代)を対象としたこども食堂を運営しています。

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