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こども食堂のおばちゃんのコラム

こども食堂の現状&困りごとアンケ―ト NO.5

~全国こども食堂支援センター・むすびえの調査から~

画像:bonbon/イラストAC

全国こども食堂支援センター・むすびえでは、第5回目のこども食堂の現状と困りごとアンケートを、2021年6月23日~7月4日まで実施しました。その結果報告が公表されましたので、お知らせします。

 

前回、この欄で厚生労働科学特別研究事業の一環で行なわれた「全国こども食堂の運営実態とその効果」についての調査結果の報告をしました。今回は民間団体である「全国こども食堂支援センター・むすびえ」がコロナ禍で各地域のこども食堂の運営が困難になったことを受けて定期的に調査を行い、今回は第5回目となります。

今回は44都道府県446件から回答がありました。前回(2021年2月1日~10日)は33都道府県343件の回答でしたから、100件ほど増えています。長野県は7件(県内設置総数155件、4.5%)の回答でした。設置個所数は全国で8番目と上位にランクされています。上位はほとんど大都市圏ですから、全国レベルでもかなり多い箇所数でこども食堂への関心の高さが伺えますが、アンケートの回答数は30番目とかなり低くなっています。

 

全国のアンケート回答の内訳を見ると約6割が2016年~2018年に開始した食堂でした。また運営団体は45%が任意団体(市民活動)、NPO法人が19.1%、個人が14.6%でこの3者を合わせると約8割です。つまり行政やそれに近い団体ではなく、あくまで民間レベルが運営主体であることがわかります。現在全国で約5,000ヵ所開設されていると言われていますが、縛りの少ない民間であるからこそ、この5年で急拡大したといえます。

 

それでは具体的にアンケート結果を見ていきましょう。

今回のアンケートでは93.7%のこども食堂が何らかの形で開催していることがわかりました。「一同に会しての居場所型こども食堂」が36.4%、「弁当・食材配布」が69.8%(複数回答)で、ほぼコロナ前に戻りつつあるようです。回答者の約7割近くが3年以上こども食堂を続けてきた団体ですから、決してブームに乗って活動を始めたところではないため、このような高い数字になったのでしょう。

 

また、困りごとアンケートでは、「必要な人(貧困家庭等)に支援を届けることが出来ない」が61%、「感染拡大の不安と防止の対応」が48%、「運営資金不足」が44%(いずれも複数回答)となりました。この3大要因は数字こそ若干の相違はあるものの、毎回困り事の上位を占めています。中でも「必要な人に支援を届けること」が常に1位となっていますが、アンケートの回を重ねるごとにパーセンテージが上がってきています。直に子どもや家庭と直接つながる機会が多く、現状を目の当たりにしてこのような結果が出てきたのでしょう。

 

次に、コロナ禍以前と以後での参加者の変化についての設問で、明らかに困窮家庭が増えている印象があると回答がありました。困窮家庭の増加の背景として、むすびえは以下のように分析しています。

1.コロナの長期化で社会全体の困窮者が増えた

2.行政が困窮家庭に食材・弁当配布の広報を案内することが増えた

3.食材・弁当の配布が一堂に会しての居場所より、個々の家庭の事情が明らかになった

「必要な人(貧困家庭等)に支援を届けることが出来ない」という困り事と、微妙にリンクしています。つまり、これまでのこども食堂は貧困に特化しておらず、むしろ「子どもたちの居場所」としての機能が軸でした。それがコロナ禍により、これまで見えなかった困窮家庭の現状を目の当たりにし、支援の必要性を更に強く認識したのではないでしょうか。

 

当ほっとキッチンでも、3の分析に似た現象が起こりました。コロナ以前の学習支援・調理・会食と比べ、フードパントリーを始めてから明らかに人の流れが変わりました。これまで居場所として集ってきた皆とは別に、フードパントリーだけ申し込みがあり、それもほぼ毎回となれば明らかにその背後にある問題が見えてきたように感じています。

 

むすびえのコメントです。

多世代交流拠点となってきたこども食堂が、コロナ禍により困窮家庭を支えるセイフティーネットとして機能している姿が、改めて明らかになりました。現在、日本中で5,000ほどあると言われているこども食堂の約7割が食材・弁当配布をしていると仮定すれば、民間最大の困窮者対応の公益活動となっていると言えます。

これが事実であれば、日本に昔からある文化「お互い様」が民意となって表れてきたのかもしれません。

また各食堂の悩みについて、こんな一節がありました。

「皆がマスクをしているせいか、黙っているためか、子どもの言葉の発達が遅いように感じる。小中学生が挨拶をしなくなった、声を出さない、黙食等。とても心配だ」

「地域住民の理解が不十分で、集まること自体が悪とされ、子どもたちが罪悪感を持つようになった」

子どもたちのためと言いながら、実は地域の人々に必ずしも受け入れられていない現状もあるようです。大人たちの都合が、子どもの健やかな成長にどのような影響を及ぼすのか、前例が無いだけに不安でなりません。コロナ禍以前からも、地域の人々になかなか理解してもらえないことも有るという意見もありました。コロナ禍になってからは尚更です。でもコロナだからこそ、子どもたちの居場所を確保していかなければならないことも事実です。この相反する事態をどう乗り越えるのか、今後の課題でもあります。

前回報告した厚生労働科学特別研究事業の報告書では「こども食堂は地域共生社会の実現の軸になり得る」と結論づけています。地域の人々の理解と応援があってこそのこども食堂です。今後こども食堂が子どもだけの居場所ではなく、地域住民と気軽に集える場所になっていけば、ほっとキッチンを開設するにあたって提唱した「こどもは地域で育てる」が夢ではなくなることでしょう。

 

このように様々な問題点が浮き彫りになってきました。ワクチン接種も少しずつではありますが、進み始めています。コロナ禍から抜け出せる日もそう遠くは無いと思います。その時どんな子どもたちが、どんなこども食堂に集まってくるか、そしてどんな交流ができるのか期待を込めてその日が来るまで頑張って開催していきたいと考えています。

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