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こども食堂のおばちゃんのコラム

~コロナとこども~

〈国立成育医療研究センター 第5回アンケートから〉

画像:PIXTA

これまで、国立成育医療研究センターで調査した「コロナ×こども」アンケートの結果を4回に渡りこの場で報告してきました(→ コロナ×こどもアンケート調査報告一覧)。今回は2021年2月19日~3月31日まで行われた第5回目のアンケート結果が5月25日に公表されましたので、その報告をします。

 

調査期間は、2回目の緊急事態宣言が発令された1月8日~3月21日まででした。ただし1回目の緊急事態宣言(令和2年4月~5月)とは異なり、首都圏4県及び7府県で、期間は73日間と長期間にわたりました。第1回は全国規模で49日間でしたから、約1.5倍の長さです。ただその内容は1回目とは異なり、商業施設やイベント等は制約があるものの、全て休業にはなりませんでしたし、学校も休校にはなりませんでした。

 

第5回アンケ―トの回答者は、これまでと同じ小学1年生~高校3年生までの521人、0歳~高校3年生の保護者2,690人、併せて延べ3,191人。第1回8,707人、第2回6,772人、第3回10,676人、第4回目4,629人ですから、前回に比べ約30%減りました。一番多かった第3回目に比べると1/3ほどになりました。

 

コロナ慣れして、興味が薄れてきたのかも知れません。ただ注目すべきは、回答日の一番多かった日は3月15日~21日で群を抜いて多い数字です。緊急事態宣言解除が目前に迫り、気持ちが落ち着いてきたせいでしょうか。

 

今回は、コロナが子どもにどんな影響を与えたのかという視点で考察したいと思います。前回の調査では、小学4年~6年生の15%、中学生24%、高校生30%に中等以上のうつ症状があると報告されました。この数字はとても衝撃的なものでした。今回の調査でどの程度改善の兆しが見えるのか、または同じ状態もしくは更に悪くなっているのか、そんなことも考慮しながら見て行きたいと思います。

 

子どもの心の状態についての設問では、「自分の気持ちを家族に話すことが出来る」が小学生73%、中高生55%でした。裏を返せば、家族に話せない小学生が27%、中高生が45%いると言う事です。また、「自分の事を気にかけてくれる人が、家族の他に2人以上いる」と答えた小学生が68%、中高生が57%でした。こちらも、小学生32%、中高生43%が「いない」ことになります。

 

中高生は思春期なので、家族より友人・知人の方が話しやすいということも考えられますが、いずれにしても3割近い小学生、4割以上の中高生が自分の気持ちを一人で抱え込んでいるのではないかと危惧されます。

 

「この1ヵ月でコロナの事を考えると嫌になる、イライラする、最近集中できない」と言う設問でいずれか1個以上あると回答した子どもが76%と、大変高い数字になりました。保護者の回答では「子どもが自分の体を傷つけたり、家族やペットに暴力をふるう(叩く、蹴る等)」が17%に上りました。

 

親子の関わりでは、「保護者が感情的に怒鳴った」が48%と約半数の親が子どもに対して感情をぶつけたという回答がありました。また昨年1月時点と比べてみると約28%の保護者が「増えた」と答えています。これに対して、「予防に役立つ情報または解決に役立つ情報が欲しい」と答えた保護者が30%いました。感情的になっているという自覚があり、冷静になったときにふと我に返り、どうすれば感情的にならずに済むかが知りたいと考えての事だと推測されます。保護者の自身の中で葛藤しているのかも知れません。

 

コロナが与える影響で、この1年で感じたことについて設問がありました。「家族と話す時間が増えた」40%、「減った」42%とほぼ同数となりました。家族間のトラブルの増加が21%、減少が57%。こちらはちょっと救われる数字です。また「先生や大人への相談にしやすさ」は増加が16%、減少が51%とこちらは高い数字がでました。コロナによって大人への相談が減ったということは、先ほども指摘したように、ひとりで抱え込んでしまっているということでしょうか。

 

また「友達と話す時間が増えた」が18%、減ったが46%と同じような数字が出てきました。対照的に、友達とのトラブルが増えたが10%、減ったが60%。友達との関わりが希薄になったのか、それともコロナで互いに思いやりの感情が芽生えトラブルが減ったということでしょうか。後者であって欲しいと切に願います。

 

「学校へ行きたいという気持ち」が40%の子どもたちに減ったという結果が出ています。また楽しいと思うことが増えたが21%、減った44%という結果が出ています。これらの数字を見ると、確実に人との関係性が希薄くなっているような気がします。

 

保護者へのアンケートでも同じような数字が出ています。例えば「気軽に話せる相手や機会が減った」が60%、「子育てについて相談できる公的な場や機会が減った」は72%、「増えた」は1~3%しかいませんでした。「子どもを自由に遊ばせる場や機会が増えた」はたったの1%、「減った」が82%と大きな差が出ています。

 

「子どもと過ごす時間が増えた」が52%。ただ気になったのは、保護者の35%は子どもと過ごす時間を減らしたいと答えています。これは子どもの年齢が低いほど高い数字になっています。特に5歳以下の保護者は40%そう答えています。先にも述べましたが、コロナによって子どもと過ごす時間が長くなり、なんとなくイライラが増え、怒鳴ってしまうのでしょうか?ただ親が感情的に怒鳴れば、必ず子どもの心に影を落とします。そしてそれはずっと子ども心に残るでしょう。そして徐々に心身に影響を及ぼしていくのではないかと心配でなりません。

 

自由筆記の欄では、

■コロナの影響で話す機会が減り、今までならすぐ解決できることも難しくなった(高2女子)。

■お母さんの仕事がコロナの場所だから、友達のお母さんが近くに行っちゃダメ!と言ったと友達に言われ悲しかった(小二女子)。

■町内の人がマスクをしていないと学校に言いつけてくるから、町内の人が怖い。どこにいるか分からないからどこにも行きたくない(中二女子)。

■マスクが苦しい。でも先生や友達が怒る。怖い人が増えた。お母さんは外していいと言ってくれるので助かってます(小5女子)。

■おうち時間とか、カッコいいマスクとか、無理やり楽しいことのように押しつけないで欲しい(小4男子)。

■自分たちで出来るコロナ対策をしているのに、大人や政治家は夜飲んだり遊んだりというニュースを見るたび、なんで?と思う。呆れたり情けないと思う(高2男子)。

■大人は私達と比べものにならないくらい辛い思いをしているかもしれません。子どもは大人になってから遊べばいいとか、これからがあるんだから、今行事が無くもいいだろうとか言われてとても悔しかった。このメンバーでいられるのは今だけ。学生も我慢しています。それだけはわかって欲しい(中3女子)

このような子どもの声は前回でもありました。ずっと解決されないまま1年がたったような気がします。

大人の論理を押し付けている、でも子どもは冷静な目で大人を眺めている、抵抗する術が判らず、仕方なく大人に従っているけど、心の中はモヤモヤと理不尽さでいっぱいなような気がしてきました。

 

その反面こんな意見もありました。

■コロナで厳しい制限がある中でなんとか楽しさを見つけようとした(中三男子)。

■両親との会話やハグ・握手などで安心することが増えた(中二女子)。

保護者からは、

■子どもがどんどん無気力になってきた気がします。自分たちがどんなに感染予防を頑張っても大人たちが出かけて感染拡大したり。学校行事もほとんどなくなり、不安と虚無感の1年でした(高2男子保護者)。

■保護者の率直な意見を伝える機会はほとんどありません。コロナに関すること=クレームとなりがち。今の対策が子どもにとってマイナスと感じている保護者はいます。

■子ども、若者の自殺率の増加は異常です(前回のコラムで自殺率の高さに触れました)。この自殺率の増加を許容してまで過剰な対策・煽りをしなければならないか、文科省・教育委員会・自治体はよく考えて欲しい。

最後に、国立成育医療研究センターから「悪いことばかりではなかった、いままで気づけなかったことに気づけて良かった」と言う意見も多く寄せられ、子どもたちの逞しさ、しなやかさに改めて驚かされました」とコメントがありました。それと同時に、「強いストレス状態にある子どもたちに、周囲が今すぐにでも手を差し伸べる必要がある」とし、「子どものSOSはわかりずらいと言う側面があり、周りの大人たちはこれまで以上に子どもたちの様子をよく見て話しかけてください。すぐには心を開かなくても、心配しているよ、気にかけているよ、というメッセージを伝え続けてください」と締めくくられていました。

 

6月に入り、ワクチン接種が急速に拡大しつつあります。いつコロナ以前の生活に戻れるのか、年末までには戻れるのか、皆目見当がつきません。ただ収束の方向に向かったとしても、全く以前と同じ生活にはならないのではないか、特に子どもたちに及ぼした目に見えない影響はずっと今後も続いていくのではないかと考えざるをえません。私たち大人は気を緩めることなく今後もずっと子どもたちを見つめ続けていかなければならないと考えています。今だけでなく、3年・5年と言う長い期間で見守り続けて行かなくてはならないと切に思っています。

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